2015年10月23日

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カンボジアの最低賃金は高すぎる? 製造業の移転を警告

カンボジアの最低賃金は高すぎる? 製造業の移転を警告

数週間の激しい交渉を経て、今月初め、2016年の衣料品業界の労働者の最低賃金は140米ドルに上昇した。フンセン首相は個人的にはさらにこの数値を押し上げるべく介在しているとみられているが、新しいレートにより工場らがカンボジアから離れる可能性があると警告した。

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「ミャンマーでは労働者らの賃金は67米ドルに、ラオスでは80米ドル、バングラデッシュの経済特別区は75米ドル、インドとネパールはまだまだ低く、カンボジアでは数カ月のうちに140米ドルに達するとみられています」と首相は昨日プノンペンの国立教育政策研究所で行われたスピーチの中で述べた。
「ですからもしかしたら工場らはカンボジアから、より労働力の安い地域へ拠点をうつしてしまうかもしれません。しかし私たちは皆で協力してこれらの工場を国内に引き留めなくてはなりません」
 
10月8日に発表した際、土壇場でフンセン首相が5米ドルの引き上げをした功績があったにも関わらずこの忠告は発表された。
米国を拠点とするSolidarity Centerの現地代表であるWilliam Conklin氏は、カンボジアの最大の輸出の稼ぎ手を盗もうとする熾烈な競合相手に関する忠告が、過去に良い結果につながったことはなく、一方で首相の5米ドルの介入が来たる2018年の選挙を見越した可能性があるとした。
 
「毎回同じことを言っている気がします」とConklin氏は言う。「(しかし)会社らが拠点を移しているという兆候はどこにも見当たりません」
 
1月1日に施行され、衣料品業界の労働者らの基本給を100米ドルから現在の月当たり128米ドルに引き上げた先の最低賃金の引き上げの影響もまだ不明だ。
 
雇用主らは賃上げが大混乱をもたらすと警告したにも関わらず、商業省は2015年の上半期の衣料品の輸出は対前年比9%増加したと報告した。
 
その一方で、ILOの専門家らはデータから結論を導き出すことはしないようにと忠告したものの、6月に発表された国際労働機関の機関報告によれば今年新規に設立された工場は閉鎖された数を16上回った。
 
雇用主らは断固としており、衣料品業界における重要な課題が解決されない限り、来年の140米ドルというレートによってさらに多くの工場が拠点をうつすことになるだろうという。
 
「買い手がより多く支払わない限り、避けられない結果です」カンボジア衣料製造組合事務局長のKen Loo氏は語った。
「生産性を向上させなければなりません、そして労働組合と手を携えて買い手がより多く私たちに支払うよう、圧力をかけていかなくてはなりません」
 
それでもなお、Loo氏は買い手に価格の引き上げを求めることは「希望的観測」に過ぎないという。

「ほかの国から同じ製品をより安く購入できるのに、彼らはどうしてより多く支払わなければならないのでしょうか」

現在までに来年の賃上げに対して公に支持を表明している海外ブランドはスウェーデンを拠点とする小売H&Mのみだが、今回さらにカンボジアの工場拠点を増やすかという質問には回答しなかった。

工場の作業現場では、業界の経済的な持続性ははるか遠いところにあるようだ。
衣料品関連の労働者らの中には、組合が要望した最低賃金の160米ドルから大きくかけ離れているとして不満を持つ者もいる。

組合の幹部らはこの件についてデモを行うかどうか、水曜日会合を行い検討する予定だ。カンダル州のTai Nanの工場で働く35歳のPun Sina氏は、多くの労働者が加われば参加を検討したいと述べた。

「(賃上げについては)満足していますが、労働者がより高い賃金を得ているとして市場の製品価格が値上がりすることについても懸念しています」と彼女は述べた。
 
photo by nicwn

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