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H&M、労働環境改善のため、新興国のサプライヤーの監視を強化

労働者らはしばしば労働組合の差別、強制的な時間外労働、一部化学薬品の煙や高温によるとみられる集団失神について不平を訴えており、すべての論点がカンボジアの工場に影響を及ぼすと見られている。
 
2013年には工場の天井が落下し2人の労働者が死亡した。また翌年には別の工場の床が崩れ落ち、8人が負傷した。両件ともに建物の建築基準が設けられていないことと、検査の手抜きが指摘された。カンボジアの工場は労働者の権利の不正使用が例外であって、異例なことだと訴えている。
 
インダストリオール事務局長のJyrki Raina氏は声明の中で「(新しい取り決めは)労働組合化された労働力、建設的な労使関係、業界レベルの団体労働協約を通した生活賃金や安全な職場のあるサステイナブルな衣料品業界に向けての道筋を強固にするものです」と話した。
 
この取り決めを監視するため、H&Mおよびインダストリオールは同社や世界的な労働組合の地元の関連会社から代表を集めた「全国監視委員会」を設立する予定だ。まずはカンボジアやその他数カ国からはじめる。
 
「ちょうど実行計画に着手したところです、つまり全国監視委員会の設立とサプライヤーと組合の代表両者へのトレーニングの準備をしています」とRaina氏はメールの中で語った。

「まず優先度の高いカンボジア、バングラデッシュ、ミャンマー、トルコからはじめ、その後他の国に展開していく予定です。
カンボジアに関しては、12月7日にプノンペンではじめの導入会議を開催することで合意しました」

インダストリオールによれば、2014年同社はカンボジアで58の工場から供給を受け、7万人の労働者を雇用していた。これは地元の衣料品産業の10%に相当する。

H&Mの広報担当であるUlrika Isaksson氏によれば、取り決めは直接購入する工場より衣料品を製造するよう求められる下請けも包括するとのことだ。

「はじめのフェーズでは、情報や教育に関して言えばサプライヤーや労働者らの代表の具体的なニーズを判断しています。この評価により、それぞれの国特有のニーズに応じた仕事を適応させていくことができます」と彼女は言う。

米国を拠点とする労働者の権利団体である Solidarity Centerのカンボジア代表であるWilliam Conklin氏は、H&Mがすでにカンボジアに最も関わっているブランドの一つだったという。しかし改善の余地はまだあり、労働者が受け取ることのできる恩恵を制限する短期的な契約の悪用を強調した。

「世界的には正しい方向を向いています、もしかしたらインダストリオールはここでさらにH&Mとの関係が深まるのかもしれません」と氏は述べた。「着手しなければならないことはまだまだあり、この枠組みの合意が助けとなるかもしれません」
 
なお、労働省の広報担当者からはコメントを得ることはできなかった。
 
photo by JeepersMedia on flickr