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ドイツ、移民排斥政党の躍進止まらず、州議選の得票率21%で2位に

 
AfD以外の主要政党の得票率は中道左派の与党・社会民主党(SPD)が30.6%(5年前の前回選挙から5.0ポイント減)、連立与党のCDUが19.0%(同4.0ポイント減)、急進左派の左翼党が13.2%(5.2ポイント減)。環境政党の緑の党と極右政党・ドイツ国家民主党(NPD)はそれぞれ3.9ポイント減の4.8%、3.0ポイント減の3.0%となり、議席獲得に必要な5%を割り込んだ。
 
新議会の総議席数は71で、議席配分はSPDが26、CDUが16、左翼党が11、AfDが18。過半数は36であるため、次期政権の選択肢は◇これまでに引き続きSPDとCDUが運営する◇SPDと左翼党による左派政権――の2つとなる。AfDは他の政党から連立を拒否されていることから与党となる可能性はない。
 
AfDはすべての政党から有権者を奪った。同党に投票した有権者の内訳をみると、2011年の前回選挙ではその18%がSPD、16%がCDU、14%がNPD、11%が左翼党に投票していた。だが、AfD投票者のなかで最も多かったのは前回選挙を棄権した人で、全体の35%を占めた。これを反映し、投票率は前回の51.5%から61.6%へと10ポイント以上、上昇している。
 
<メルケル首相は政策堅持>
 
世論調査機関ヴァーレン(Wahlen)の調べによると、今回の選挙でAfDの得票率が最も高かった就業者層は労働者で、27%に達した。サラリーマン、公務員ではそれぞれ18%、17%と同党の得票率(20.8%)を下回っている。学歴別でみると、中学歴で26%と高く、大学入学資格保持者と大卒者ではそれぞれ15%、13%にとどまった。性別では男性が25%、女性が16%だった。
 
ヴァーレンなどが実施したアンケート調査では、AfD支持者の86%が難民に不安を持っていると回答した。有権者全体では難民に不安を持つ人が50%に達しておらず、AfD支持者の特異性が目立つ。AfD支持者ではこのほか「難民はドイツ人よりも優遇されている」との回答が83%、「難民流入を受けて社会保障費が増加する」が97%、「イスラム教の影響力が強まる」が96%、「犯罪が増える」が91%、「社会福祉が脅かされる」が74%に達した。
 
ここから浮き彫り上がるAfD有権者の不安感は、難民が増えるとイスラム教徒と犯罪がともに増えるうえ、難民向けの社会保障支出も膨らみドイツ人が“割を食う”というものだ。「反移民」「反イスラム」を掲げるAfDはこうした危機感・被害意識を持つ有権者に希望をもたらす政党であり、前回選挙の棄権者の多くは進んで投票した。
 
CDUの得票率は過去最低となった前回(23.0%)をさらに下回った。G20サミットに参加するため中国を訪問していたドイツのメルケル首相(CDU党首)は今回の選挙戦惨敗について、自らの難民政策が響いたと述べ責任を認めた。そのうえで、政府に問題解決能力があることを示して有権者の信頼を取り戻すことが重要だと発言。ドイツ社会への難民統合や滞在権のない難民の国外退去を首尾一貫して推し進める考えを示した。難民受け入れ政策そのものについては「正しいと思っている」と述べ、変更しないことを強調した。
 
ただ、メルケル首相に対してはCDUの姉妹政党であるキリスト教社会同盟(CSU)が難民の流入に上限を設けることなどを要求し修正を強く迫っている。難民に対して厳しい姿勢を示さないとAfDの勢力拡大を止められないと考えているためだ。同首相が難民政策堅持を表明したことで、両党の摩擦はこれまで以上に強まる恐れがある。