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欧州委が新提案、ローミング料金頻繁利用者への課金容認へ

 
ローミングの利用日数に上限を設ける当初の案は取り下げ、代わりに国内より国外での利用頻度が高い場合などに、事業者に少額の課金を認めることを提案している。EU各国の規制当局、欧州議会、業界団体などから新たなルール案に対する意見を受け付け、それらを踏まえて年内に正式決定する。
 
EUでは2007年以降、域内の他の国で音声通話、ショートメッセージサービス(SMS)、データ通信を利用する際のローミング料金が段階的に引き下げられており、2017年6月15日までに原則として撤廃されることになっている。実現すれば、EU市民は域内のどこに移動しても、自国と同じ料金水準で通話やデータ通信などのサービスを利用できるようになる。ただ、ローミング料金を撤廃した場合、ある国の消費者が料金水準の低い他の国で加入契約を結び、実際には自国でサービスを利用したり、通話料金の安い国でSIMカードを購入し、自国で恒常的に利用するといったケースが想定される。
 
こうした懸念に対応するため、欧州委は今月5日、無償でローミングを利用できるのは年間90日まで(連続した利用は30日まで)とし、上限を超えた場合は事業者に課金を認めることを柱とするローミングの「公正使用(フェアユース)に関する指針(案)」を発表した。しかし、ローミングの完全撤廃からは程遠く、事業者寄りで消費者保護が不十分といった批判が集中したことから、ユンケル委員長が提案から4日後に指針案を見直す方針を表明していた。
 
新提案によると、携帯電話事業者は加入者の利用状況をチェックし、国内よりEU域内の他の国での利用頻度が高かったり、SIMカードが国内でほとんど利用されていない場合などは少額のローミング料金を徴収することができる。ただし、事業者は対象となる利用者に対し、事前に追加料金が発生する旨を通知しなければならず、利用者は異議を申し立てることができる。また、国境を越えて通勤・通学する利用者は課金の対象から除外する。なお、課金額に関しては、通話が1分当たり0.04ユーロ、ショートメッセージングサービス(SMS)は送信1件当たり0.01ユーロ、データ通信は1メガバイト当たり0.0085ユーロを上限とすることを提案している。