2016年12月14日

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欧州中銀が量的緩和の規模縮小、実施期間は9カ月延長へ

欧州中銀が量的緩和の規模縮小、実施期間は9カ月延長へ

欧州中央銀行(ECB)は8日にフランクフルトで開いた定例政策理事会で、ユーロ圏の国債などを買い取る量的金融緩和を9カ月延長し、2017年12月末まで継続することを決めた。一方、毎月の買い取り額は4月から200億ユーロ縮小し、600億ユーロとする。量的緩和の規模縮小は初めて。ユーロ圏のデフレ懸念は後退したものの、なお景気の下振れリスクがあることから、規模は縮小するが期間を延長するという妥協的な政策決定となった。

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同日の理事会では政策金利は変更せず、主要政策金利を0%、中銀預金金利をマイナス0.4%に据え置いた。
 
ECBはユーロ圏のデフレ回避と景気下支えを目的に、ユーロ圏の国債や資産担保証券(ABS)、担保付き債券(カバードボンド)、EUの機関が発行する債券などを買い入れる異例の量的金融緩和を15年3月に開始。昨年12月には実施期間を17年3月まで6カ月延長することを決めた。さらに今年3月には、国債などの買い取り規模を月600億ユーロから800億ユーロに拡大し、新たに社債を買い入れ対象に加えていた。
 
実施機関の延長は、ドラギ総裁が10月に事実上予告していたため、確実視されていた。しかし、規模縮小は予想外。金融市場では発表直後、ECBが緩和を段階的に縮小する「テーパリング」に着手したとの見方が広がり、ユーロ高が進み、ユーロ圏の長期国債の利回りが上昇した。
 
ユーロ圏の11月のインフレ率は前年同月比0.6%で、31カ月ぶりの高水準となった。なおECBが目標とする2%を大きく下回っているものの、デフレの懸念は遠のき、ECBは同日発表した最新の内部経済予測で、17年の予想インフレ率を前回(9月)の1.2%から1.3%に上方修正した。量的緩和の規模縮小は、こうした状況やユーロ圏の景気が緩やかな回復を続けていることを受けたものだ。
 
ただ、ユーロ圏では来年にドイツ、フランスなどで国政選挙が実施されることになっており、その結果によって景気が悪化する懸念がくすぶっている。ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、量的緩和を延長しながら規模を縮小するという決定について、一部で予想されていた6カ月延長よりも、規模が減っても9カ月延長する場合の方が買い取り総額は多いとして、緩和の面を強調。テーパリングには当たらないと主張した。また、必要に応じて買い取り額を月800億ユーロに戻す用意があることも明らかにし、不安払しょくに努めた。
 
ECBが規模縮小に踏み切った背景には、量的緩和を続けてきた結果、買い取り対象となる国債が少なくなっていることもある。このため、今回の理事会では償還期限が2年以上の国債しか購入できないという制限を緩和し、1年以上であれば買い取り対象とすることを決めた。また、利回りが中銀預金金利のマイナス0.4%を下回る国債も購入できるようにする。この新ルールは来年1月から適用される。
 
ソース:http://fbc.de/eur/eur3709/

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