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ベトナム、繊維・アパレル業界が直面するトランプ大統領就任後の3つのシナリオ

 
2017年1月20日に第45代米国大統領として就任するドナルド・トランプ次期大統領は、米国の国内産業がTPP加盟国からの輸入品と競合することになるため米国民の雇用への懸念からTPPに反対している。
 
米国は現在ベトナムの最大の輸出相手国であり、ベトナムの繊維・アパレル輸出額の5割以上が米国に輸出されている。2016年10月だけでもベトナムは94億7600万米ドル相当の繊維・アパレル製品を米国に輸出している。
 
TPPが発効すれば、ベトナムの繊維・アパレル輸出額はTPP発効初年度に30-40%増加し、3-4年後には2倍に増加すると業界専門家は予測している。つまり、輸出額は2018年には30億米ドル増加の160億米ドル、2020年には200億米ドルに達するということである。
 
しかし、トランプ次期大統領は1月の就任後すぐにTPPから脱退すると表明しているため、この予測は実現しない可能性がある。ベトナム繊維協会のTruong Van Cam会長は、Hai Quan紙に対し、TPPがあろうとなかろうと、ベトナムから米国への繊維・アパレル輸出は増加するだろうと述べている。近年、米国の総輸入額の伸びは3%程度であるにもかかわらず、ベトナムからの米国への輸出額は年率12-13%の順調な伸びを示している。
 
ベトナム製品は米国の繊維・アパレル製品輸入の9%を占めるに過ぎない。VEPRのNguyen Duc Thanh社長もまた、米国のTPP撤退はベトナムの対米輸出に影響しないと見る。しかし、繊維・アパレル輸出は当初想定ほどには伸びないだろうと話す。
 
ベトナム繊維協会元会長で、業界専門家Le Quoc An氏は、ベトナムにとっては3つのシナリオが想定できると話す。
 
第1のシナリオは、TPPは発効するが、合意内容が変更となる場合。この場合、ベトナムの対米輸出額は当初想定よりも5割低くなるという。
 
第2のシナリオは、TPPが破棄される場合。その場合でも、ベトナムは米国への輸出にあたり他の世界貿易機構(WTO)加盟国同様、最恵国(MFN)待遇を享受することができる。この場合、輸出は米国内の経済状況に左右されることとなる。
 
第3のシナリオは、TPPが破棄され、さらにトランプ政権が監視制度やベトナムを含むアジア諸国からの輸入に対し反ダンピング税を課税する場合。その場合、ベトナムからの輸出は減少するだろう。
 
2002年にベトナム・米国の二国間貿易協定(BTA)が発効した際には、ベトナムから米国への繊維・アパレル輸出額は前年の5000万米ドルから9億5700万米ドルへと激増した。
 
ソース:http://apparelresource.asia/news/item_2700.html