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ベトナム国内企業のグローバル・バリューチェーン参画が急務【前編】

 
中央経済管理研究所(CIEM)の元所長であるLe Dang Doanh氏は、「労働者(Nguoi Lao Dong)」紙に対し、外国直接投資(FDI)企業はベトナムの総輸出額の約70%を占めるなど国の経済成長に大きく貢献してきた一方で、国内企業はグローバル・バリューチェーンにまだ深く関わることができていないと述べた。
  
統計総局によると、2016年、ベトナムの輸出額は前年比8.6%増となる約1750億米ドルであったが、この統計値のうち外国直接投資(FDI)企業の輸出額は、前年比10.2%増となる1200億米ドルにも達した。
  
Doanh氏は、輸出売上高に占める外国直接投資(FDI)企業の寄与度が50%に達して以来、国内企業は生産能力向上と競争力の強化を求められてきたと述べた。しかし現在外国直接投資(FDI)企業の寄与度が70%にも上っている中で、国内企業は依然としてグローバル・バリューチェーンにおいて受動的な活動しか担うことができていない。
Doanh氏は、輸出がベトナム経済に及ぼす影響は年々大きくなってきており、2001年の輸出額は150億米ドルであったのが10年後には970億米ドルにも達したが、こうした成長は主に外国直接投資(FDI)企業によって成し遂げられたものだ、と続けた。
  
輸出における外国直接投資(FDI)企業の大きな存在感は、一方で大部分のベトナム企業が低付加価値のアウトソーシング・サービス産業に従事しており、国内企業の競争力の低さを反映している、と彼は指摘した。
  
Thắng Lợi Textile Garment JSC社のNgo Duc Hoa社長によると、国内向けのThắng Lợi社製品はすべて、自社で設計、製作、配送されているが、輸出向けについては、外資系パートナー企業のために「裁断・縫製」業務だけを提供しており、契約している外資系企業の提供する資材を用いてアパレル製品やアクセサリーを生産しているだけであるという。
  
アパレル輸出企業が直面している最大の問題は、生産に必要な原材料の不足で、輸入に頼らざるを得ない状況にある。さらに、ベトナムの繊維・アパレル産業はまだ発展途上で、顧客から十分な注目を得られていない。
  
Thắng Lợi社では外国パートナー企業向けに製品を「裁断・縫製」業務だけを得ており、パートナー企業が提供する原材料を使用したり、原材料を輸入したりする必要がある。この場合、例えば輸出向けTシャツの原価が10米ドルとすると、原材料輸入に8.5米ドルかかり、請負による加工賃としては1.5米ドルが残るだけといった状況に陥っている。
「アパレル企業では生計のために爪で火をともしていると言っても過言ではありません」とHoa社長は述べた。
  
電力、電子部品、通信などのハイテク産業においてもほとんどの国内企業は、輸出向け製品のアウトソーシング・サービスの提供に従事している。
Fullbright Teaching ProgramのVu Thanh Tự Anh氏は、Fullbrightの専門家グループの最近の研究のまとめによると、Intel社がベトナムに投資した10年間について(国内企業の参画度合いは)惨憺たる結果であったことを明らかにした。
  
それによると、ベトナム企業はIntel社の総輸出額のわずか3%にしか貢献しておらず、その中にはIntel社が調達できない食事の提供や、ギフトボックスの準備、セキュリティサービスなどが含まれるという。
  
(後編へつづく)
  
ソース:http://apparelresource.asia/news/item_2744.html