2017年3月14日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • copy

ブラジルにおける、女性起業家と男性起業家の大きな違いとは

ブラジルにおける、女性起業家と男性起業家の大きな違いとは

国際女性デーの3月8日、世界各地で女性にちなんだイベントが行われた。アメリカ合衆国の女性によるトランプ大統領に対する抗議デモのニュースも記憶に新しいが、ブラジルでは女性の社会的活動に関する興味深い調査結果が発表された。

この記事の続きを読む

 
TVグローボは国際女性デーに先立って、3月5日、経済情報番組「ペケーナス・エンプレーザス・イ・グランヂス・ネゴーシオス」でブラジル人女性起業家たちの活動とその特徴を伝えている。
 
ブラジル輸出投資振興庁(Apex Brasil)が後援する団体、女性起業家ネットワーク(RME)が1500人のブラジル人プロフェッショナル女性を対象に調査を行った結果、女性起業家には大きく2つの特徴があるという。
 
一つが起業の動機、もう一つが年齢層だ。
 
ブラジル人女性起業家たちの起業の動機は主に2つで、一つは世界を変えたいという思いと、もう一つは家族との時間をもっと持ちたい、という思いだ。
 
大企業の人事責任者と独立コンサルタントとして7年間、人材開発分野で働いてきたパトリシア・ヂ・ジェズースさん。5年前、人に雇われるのはやめて自分の事業にもっと時間を使おうと起業を決断をした。
 
パトリシアさんの事務所はアフリカ系ブラジル人の採用、選考、研修に関するコンサルティングを行っている。起業の動機をこう語っている。
 
「私がこの事業を行おうと決めたのは、社会がより公正で公平であってほしいと思ったからです。歴史的に社会から排除されてきた人たちにより多くの機会を与えたい、というのが強い動機でした」(パトリシアさん)
 
このように社会を変えたいという動機は、男性の起業家と大きく異なる点だという。
 
「女性起業家たちが動機としてまず口にするのは、自分の生活、子供たちの生活をよくしたい、自分のコミュニティをよくしたい、という強い思いです。お金のため、という人はまずいません。一方、金銭的な欲求は男性起業家の起業動機の常に上位にあります」(RME創設者、アナ・ルシア・フォンチスさん)
 
RMEによる年代別女性起業家割合調査では、29歳までに起業したのが全体の17%、30-39歳が43%、40-49歳が24%、50歳以上が16%という結果が出ている。
 
女性起業家の約半数は30-39歳までのグループに属することになる。既婚の人がほどんどで、ちょうど子育て真っただ中の年代だ。
 
「子供が生まれるということは、母が誕生することでもあります。そして同時に起業家も生まれていることになります」(アナ・ルシアさん)
 
小さな子供を育てながら会社勤めをするには現実的に不都合が多い。会社にいられる時間は子供がいない人より少ないことから、フレキシブルな環境を求めて起業しているのが現状だ。
 
パトリシアさんは事業主となることで、事業だけでなく時間のコントロールも自分で行えるようになった。コンサルタントとしての仕事はオフィスだけでなく家でもできるからだ。午前、オフィスでの仕事を終えると家族とお昼ご飯を食べに自宅に帰る。
 
「人に雇われていると朝から夜までずっとオフィスにいなくてはならないので、家族と過ごし、家庭を顧みる時間が持てません。子供に対しても後ろめたさを感じます。でも事業主になって時間と場所の制約がなくなったことはとても良いことだと思っています」(パトリシアさん)
 
RMEによる社会階層別起業家分布調査では、中の下以下の経済的階層に属する起業家は小売業分野での起業が多く、縫製や料理といった日々の生活の知恵、スキルを生かしている。
 
「家でお菓子を作って、外で販売をしています」(個人事業主、フランシスカ・ヴィセンチ・ヂ・アラウージョさん)
 
一方、中の上以上の経済的階層に属する女性はサービス業での起業が多く、学術的知識、法人組織・企業社会で得た知識と経験を生かしている。
 
「時間に融通が効くのがいいですね。自分の生活、子供の世話や家事などにも時間が有効に使えます」(弁護士、アマンダ・ゲヂスさん)
 
働く場所に関しては68%が自宅という結果が出ている。
 
また、金銭的サポートは事業継続のアキレス腱だが、女性起業家のうち十分なサポートを得られていると答えたのはたった20%だった。
 
「伝統的に金融の世界には男性が多く、男性目線で話される言葉しか理解されないため、女性起業家はサポートを得られにくいという現実があります」(アナ・ルシアさん)
 
パトリシアさんの事業は夫が資金面でのサポート、管理を行っている。資金の工面ができずに起業を諦めかけたこともあったが、夫のサポートで自分で事業を開き、家族との時間もしっかり確保できるようになったという。
 
仕事と家庭を両立できる職場がないならば、自分で作る…ブラジル人女性の情熱とたくましさはとどまるところを知らない。
 
(文/余田庸子、写真/Marcelo Camargo/Agência Brasil)
写真は3月8日(国際女性デー)、ブラジリア。女性の権利向上を訴えるデモが行われた
 
ソース:http://megabrasil.jp/20170312_34332/
 
■関連記事
「ブラジルフェスティバル2017」は7月15日(土)、16日(日)に開催
ムケッカ、マニソバなどの郷土料理が並ぶ「ブラジル美食祭」3月開催
「FOODEX2017」、ブラジルパビリオンでグルテンフリー食品や機能性食品、注目集める
2017年リオのカーニバル 美女ダンサー、パフォーマー写真集
「FOODEX JAPAN 2017」、華々しく開幕

この記事の提供会社

logo

MEGA★BRASIL

http://megabrasil.jp/

メルマガ会員  
 

出島