2017年5月8日

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妥協しない欧州連合、EU27カ国が英離脱交渉の基本方針採択

妥協しない欧州連合、EU27カ国が英離脱交渉の基本方針採択

EUの英国を除く27カ国は4月29日にブリュッセルで開いた特別首脳会議で、英国と進める離脱交渉の基本方針を採択した。まず英国に居住するEU市民の権利保護など主要な離脱条件についての協議を行い、それが進展しない限り、自由貿易協定(FTA)など将来の関係に関する協議に進まない2段階方式で交渉に臨む。

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英政府は離脱交渉と同時進行で、FTAなど新たな関係構築に向けた協定の交渉を進めたい考えだ。しかし、EU側は「将来について語る前に過去を清算する必要がある」(トゥスク大統領)として、離脱条件をめぐる協議を優先させることを決定。採択された交渉指針では、◇英国で暮らすEU市民の権利保護◇英国が拠出を約束したEU長期予算の分担金など最大60億ユーロに上るとされる「清算金」の支払い◇英国の北アイルランドと国境を接する加盟国アイルランドとの国境管理問題――について協議し、「十分な進展」があったと加盟国が判断しなければ、次の段階に進まないことを決めた。
 
トゥスク大統領は記者会見で、英国に多くの移民を送り込んでいる中東欧諸国の要請に応じて、特に市民の権利保護を最優先する意向を表明した。具体的には、英国に5年以上にわたって居住しているEU市民に対して、英の離脱後も永住権を認め、社会保障などで英国民と同等の権利を与えることを求める。
 
国境管理問題では、離脱後も北アイルランドとアイルランドの国境管理を厳しくしないことを目指す。さらに27カ国は指針の覚書として、北アイルランドが将来、英国からの独立、アイルランドとの統合を住民投票で決めた場合に、自動的に北アイルランドをEUの一員とすることも盛り込んだ。
 
EUでは英国の離脱に伴い、欧州医薬品庁(EMA)、欧州銀行監督機構(EBA)の本部が同国から移転することになっており、多くの国が誘致合戦を繰り広げている。これについてトゥスク大統領と欧州委員会のユンケル委員長は今回の首脳会議で、6月に選考基準を決める方針を打ち出した。
 
英政府は3月29日、EUに離脱を正式通告。これを受けて英国を除く27カ国は特別首脳会議で離脱交渉の基本方針を決めた上で、離脱交渉に臨むことになった。27カ国は同会議で、トゥスク大統領が3月末に提示した案に基づく交渉指針を開会からわずか4分後に全会一致で採択。難航が予想される離脱交渉を前に、EUの結束をアピールした。
 
英国のメイ首相は安定した政権基盤を築いてからEUとの離脱交渉に臨むため、総選挙を前倒しで6月8日に実施することを先ごろ決定した。離脱交渉は総選挙後に開始されることになる。
 
ソース:http://fbc.de/eur/eur4109/

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