2017年5月22日

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マレーシア発ベンチャーに人が集まる理由とは?

マレーシア発ベンチャーに人が集まる理由とは?

「シートベルト」「カーペット」「ドラム缶」などの廃材を利用して商品を作るーーそんなベンチャーがマレーシアで今注目を浴びている。ユニークな思想に惹かれて、日本をはじめ世界中から若者が集まってくる「ビジビジ」を取材した。(文・写真=野本響子)

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廃材のシートベルトで女性用のハンドバッグを作っている会社がある。それがマレーシア発の社会起業「ビジビジ(Biji-biji Initiative)」だ。
 
◆ 最初は廃材の再利用から始まった
 
クアラルンプールの中心地近くの一軒家が、ビジビジのオフィス兼ラボだ。
 
彼らが手がけるのは「アップサイクリング」。リサイクルと違い、アップサイクルでは、廃材を拾って製品を作る。ドラム缶を使ったソファ、空き瓶を使った棚、古タイヤを使った椅子、そしてシートベルトのバッグーー彼らのアトリエには創造性溢れる品物が並ぶ。
 
ビジビジが手がける主な素材は「シートベルト」「バナー」「カーペット」の3つ。
 
もともとは2014年、ある会社から廃材となった「バナー」を使ってもらえないか、という依頼がきっかけだった。
マレーシアでは展示会などで毎回大きなバナーが作られるが、文字や絵が印刷してあり再利用ができない。期間終了後は廃棄処分となる。
 
当時のビジビジは同じコンドミニアムに住む4人の若者が始めたスタートアップ。
 
会社として何をするかも決めていなかったが、まず、このバナーを切って縫ってバッグを作ることにした。最初に集まった4人は元コンサル、ジャーナリスト、アーティスト、科学者。誰一人としてバッグを作った経験がない中、なんとか最初の製品化にこぎつけた。バッグとしても、吊り下げで書類ケースとしても使える。デザインは荒っぽいが、その後のバッグの原型となった。次に手掛けたのがシートベルトを使ったバッグ「ザ・シートベルト・バッグ・シリーズ」だ。これは現在でも同社のヒット商品だ。
 
マレーシアはシートベルトの製造国だが、生産時に、車のモデルチェンジやベルトのよれ、汚れなどにより、使えないロットが出る。同社はこの未使用品に目をつけ、シートベルトを使ったバッグを考案した。シートベルトはそれぞれロットごとに微妙に色が違い、組み合わせによりバッグの色合いも一つ一つ違う。一見して、シートベルトを使っていることがわからないくらいだ。
 
さらに展示会で使うカーペットのフェルト素材を使った製品を作った。展示会のカーペットも、数日の展示期間が終われば廃棄される。このフェルト素材を何かに活かせないかというアイデアだった。工程のいくつかでは、Gold Fundationという障害者が働く会社に生産の一部を委託した。
 
ボランティアとして参加し、エレトロニクス部門代表でエンジニアのマシューさんは、「コミュニティを助けるために障害者の会社と協力することにしました」と説明する。フランス人のマシューさんは最初ビジビジにボランティアとして参加、惚れ込んで社員となった。
 
「廃材を使っているのに価格が高いじゃないかと言う人もいる。僕たちは、利益の多くを職人に還元する。だから安売りはしません」と断言する。
 
◆ 「発明家の家」に世界各国から若者が集結

 
ビジビジの特徴は、その製品の完成度の高さにある。分厚いシートベルトやバナーを、たった一人の職人がていねいに手縫いする。たった一人なのは、彼と同じレベルで縫製ができる職人が見つからないためだという。
 
25人、インターンとボランティアが10ー15人と大きく成長した。最近では、世界各国からビジビジの噂を聞いて若者たちが集まってくる。ワーキングホリデーやバケーションを利用し、専門技術を提供する。地元マレーシアの大学とも協力し、彼らの知識や技術を借りて、新しいことに挑戦したいと話す。地元のインターナショナル・スクールとも協業し、子供たちにワークショップを通じてアイデアを出してもらう試みも始まった。
 
取材当日、ペナンからきたというボランティアの一人は「ビジビジでの体験は素晴らしかった!」と興奮気味に話す。日本の東京大学の学生たちのインターンも決まっている。
 
2017年秋にはクアラルンプールの有名なモール「パブリカ」にワークショップなどのためのスペースを借りる予定もある。ワークショップではビジビジのバッグの作り方を教える。マシューさんは、「製品をコピーされたらどうするか? コピーしてくれて問題ない。作った製品はうちで販売することもできるよ」と鷹揚だ。
 
ビジビジでは事業のアイデアを独り占めするのではなく、アイデアをシェアし、広めて行きたいと考えている。「ビジビジ」とはマレー語で「種」の意味。あちこちでビジネスの「種」となり、世界を変えて行くのが目的だ。
 
日本とマレーシアの交流60周年を記念したプロジェクトも進行している。日本人に人気の高いシートベルトのバッグに、日本の古い着物の布を組み合わせて、和風のシートベルトバッグを作るというアイデアだ。マシューさんは、将来は日本の消費者も購入できるようにしたいと話す。
 
取材した日も多くの人がオフィスを訪れており、同社に対する注目の高さが伺えた。「まだまだブランドの力の強いマレーシアだが、日本の消費者に受け入れらることで、マレーシアの消費者への刺激となれば」とマシューさんは結んでくれた。
 
ソース:http://www.malaysia-magazine.com/news/21940.html

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