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ギリシャの新財政改革法案が可決、金融支援再開が正式承認へ

ギリシャの新財政改革法案が可決、金融支援再開が正式承認へ

ギリシャ議会は18日、政府が決めた新たな財政改革に関する法案を賛成多数で可決した。同法案はEUなど債権団との合意に基づくもので、さらなる年金削減、増税を進めることを柱とする内容。これによってギリシャへの金融支援再開が、22日に開かれるユーロ圏財務相会合で正式承認される見通しだ。

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債務危機が続くギリシャは、7月に約70億ユーロの債務返済期限を迎えるため、総額860億ユーロに上る第3次支援に基づく追加融資を必要としている。しかし、債権団が第1、2次を含む支援の条件として求めている財政再建の進展状況に関する第2次審査をパスしなければならない。この審査が難航し、追加融資が見送られてきた。
 
問題となっているのは、基礎的財政収支(プライマリーバランス)を18年までに国内総生産(GDP)比3.5%の黒字にするという目標を達成するために必要な追加の財政改革。ギリシャは2月、追加措置を即時実施ではなく、第3次支援終了後の2019年1月から実施することや、ギリシャが財政改善を前倒しで実現した場合は減税などを行えるようにするといった条件で、改革を加速させることに同意。4月に債権団と改革の詳細について合意していた。
 
ロイター通信によると、可決した法案の主な内容は◇個人所得税の課税最低限(納税義務が生じる年収の下限)を8,600ユーロから5,600ユーロに引き下げる◇年金支給額を最大18%削減する――など。増税で約19億ユーロの税収増、年金カットで23億ユーロの歳出削減効果を見込んでいる。このほか、国営の鉄道、港湾、空港運営会社や石油会社の民営化によって42億2,000万ユーロの株式売却益を得ることや、構造改革として電力市場開放を促進することが盛り込まれている。
 
一方、ギリシャは世論の反発が根強い緊縮策を強化する見返りとして、財政改善の目標を達成すれば法人税率を29%から26%、個人所得税率を22%から20%に引き下げるといった減税や、余剰資金を子供の貧困対策、薬価引き下げなど社会保障拡充に充てることが認められる。
 
さらにギリシャは22日のユーロ圏財務相会合で、債務の軽減と欧州中央銀行(ECB)が量的金融緩和として実施しているユーロ圏の国債買い取りの対象にギリシャ国債も含めることを要請し、承認を取り付けたい考えだ。
 
債務の軽減はギリシャのほか国際通貨基金(IMF)も求めているもの。第1、2次の金融支援に加わったものの、3次支援参加を見送っているIMFは、ギリシャの債務問題を根本的に解消するためには債務の減免が必要と主張している。EUとIMFは16年5月、債務返済期限の延長、利払い軽減を認めるという妥協案で合意し、2018年までに具体策を固めることになったが、IMFは元本削減も必要としており、なおEU側と溝がある。とくに総選挙を控えるドイツが、国内世論を考慮して同措置に難色を示している。同問題についてギリシャ政府の報道官は18日、テレビ局とのインタビューで、ドイツとIMFの交渉が妥結に近づきつつあるとの見方を示した。
  
ソース:http://fbc.de/eur/eur4174/
 
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