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英総選挙、与党・保守党が過半数割れ

  
英下院の定数は650。獲得議席は保守党が改選前から12議席減の318議席で、過半数の326を8議席下回った。最大野党・労働党は33議席増の262議席。このほか、主要政党はスコットランド民族党(SNP)が35議席、自由民主党が12議席となった。
 
メイ首相は4月18日、2020年5月までに行う予定だった総選挙を前倒しで6月8日に実施する意向を表明。安定した政権基盤を築いてからEUとの離脱交渉に臨むのが狙いで、当初は圧勝が予想されていた。
 
しかし、公約として打ち出した高齢者福祉の自己負担増が反発を浴び、撤回を迫られたのを機に勢いが失速。学費の無料化を掲げる労働党が、若者の支持を集めて猛追し、接戦に持ち込まれた。さらに誤算だったのは、選挙期間中に起きた2度のテロ。内相時代に緊縮策として警察官を大幅に削減したメイ首相に批判が集中した。
  
メイ首相は10議席を獲得した北アイルランドの地域政党、民主統一党(DUP)の閣外協力によって、政権を維持したい考え。9日にはハモンド財務相、ジョンソン外相、デービスEU離脱担当相など主要5閣僚を留任させる意向を表明した。EUとの離脱交渉についても、予定通り19日の週に開始できるとの見通しを示した。
 
しかし、このような形で新政権が発足したとしても、保守党とDUPとは同姓婚、妊娠中絶の容認などで立場が異なり、その基盤は脆弱だ。離脱交渉をめぐっても、移民制限で譲歩するよりEU単一市場から撤退する「ハードブレグジット」(強行離脱)も辞さない構えのメイ首相に対して、DUPは単一市場残留を望む「ソフトブレグジット」(穏健な離脱)派とされ、調整が必要となる。
 
さらに、身内の保守党内でも、総選挙での事実上の敗北を招いたメイ首相の責任を追及し、辞任を求める動きが出ている。同党は労働党を利するのを避けるため、当面は首相の続投を容認するとみられるが、短期政権になるのは確実との声が多い。このような状態で離脱交渉を進めても、EU側から足元を見られ、戦略がぐらつきかねない。離脱交渉の混迷も予想される。強力な政権基盤を後ろ盾に、強い決意で交渉に臨むという首相の目算が完全に狂った格好だ。
 
メイ首相のハードブレグジット路線をめぐっては、議会内の賛否は分かれている。保守党内でも同路線に反対する勢力がある。労働党はソフトブレグジット寄りで、これが反ハードブレグジット派の票を集めて躍進につながった。離脱交渉の結果は議会の承認を取り付ける必要があり、DUPと合わせても過半数ぎりぎりの状況では、採決の行方が不透明だ。
  
今回の選挙結果は、ハードブレグジット路線が国民に支持されなかったという側面もあり、保守党を含む議会内のソフトブレグジット派が勢いづくのは確実で、英政府が路線変更を迫られる可能性が出てきた。
   
ソース:http://fbc.de/eur/eur4236/
 
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