2017年6月23日

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カンボジア:最低賃金交渉は7月に開始予定

カンボジア:最低賃金交渉は7月に開始予定

カンボジア繊維産業の今年の最低賃金交渉は7月に始まる見込みであると、Ith Sam Heng労働大臣が19日に発表した。Sam Heng大臣は交渉過程を「政治化」しないよう呼びかけているが、労働組合側は来年の国政選挙が有利に働くかもしれないと、慎重ながらも楽観的な見通しをしている。

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組合・企業・労働省がそれぞれの希望賃金額を提示することから交渉は始まると、2日間に渡る賃金政策研修イベントの開会式にてSam Heng氏は説明した。翌月となる8月には、9月の三者間交渉に先駆けた、組合・企業との二者間面談を労働省が設定する予定である。最終的な国定最低賃金は10月に確定し、2018年に施行される。
来年の国政選挙を見通し、「不必要な混乱」を生む可能性があるとして、賃金を「論点」としないよう、Sam Heng氏は政治家たちに呼びかけてもいる。
2013年、国政選挙をきっかけに起こった最低賃金抗議は大規模な反対運動へと発展し、2014年1月にVeng Sreng通りでストライキに参加中の労働者達に当局が発砲し、5名が死亡することで幕を閉じた。実質的な関連性はないものの、反対運動家達の自由公園の占拠は翌日、暴力的に解散させられた。
 
Sam Heng氏の警告にも関わらず、カンボジアアパレル労働者民主連盟のAth Thorn代表は、各政党の点数稼ぎをしたいという気持ちが労働者にとって良い方向に働くよう望んでいると語った。
「繊維工場労働者達の支持を惹きつけるような政策をそれぞれの政党が打ち立てるため、
(労働者達が)より高い賃金を得るチャンスは高くなるでしょう。」とThorn氏は述べたが、自身が求める具体的な賃金額に関しては明らかにしなかった。
カンボジア組合連合の会長Chuon Mom Thol氏も慎重ながら楽観的な見通しをしているが、昨年ほどの賃金上昇は見込んでいないという。昨年、最低賃金額は月間140米ドルから153米ドルと、カンボジアの繊維産業では10%近くも上昇した。
「Samdech(Hun Sen首相)が(選挙)期間中に労働者達の興味を引き付けるのは定石です。」とThol氏は説明した。
一方、労働者権利団体Solidarity CenterのKhun Taro氏は、与党であるカンボジア人民党の年間賃金の引き上げが、政治的な結果を持つように明らかに意図されていることを考慮すると、賃金交渉から政治的な要素をなくそうという労働省の呼びかけは馬鹿らしいと述べた。
労働者の権利グループCentralのMoeun Tola氏はTaro氏の意見に賛同し、2012年、野党の救国党が民間セクターの最低賃金を150米ドルに、公務員の最低賃金を250米ドルにするよう呼びかけ人気を博すと、政府は両賃金とも上向きに調整していたことを指摘した。
 
「政治的な圧力がなければ賃金の引き上げは起こりません。」とTola氏は述べた。賃金関連の独立調査禁止や最低賃金に対する反対運動の禁止を含めた、労働省が提示する最低賃金法案に関しては、言論の自由を踏みにじり、各組合内での意見の交換を断つ可能性があると、Taro氏・Tola氏共に懸念を表明している。
GapやLevi-Straussなど、アメリカの大手アパレルブランド数社を代表するアメリカアパレル・履物協会のRick Helfenbein会長も、6月7日に法案の再考を呼びかけている。Taro氏やTola氏と同様、もし法案が成立すれば「すでに難しいとされている交渉にさらに大きな課題を投げかける」可能性があると、懸念を示している。
労働省のHeng Sour報道官は、法案は本年末まで国会に採択されない見込みであることを説明の上、こうした懸念の声を退けている。
 
ソース:http://apparelresource.asia/news/item_2914.html

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