2017年7月24日

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ドイツ連邦憲法裁判所が「一企業一協定規制は合憲」と判決

ドイツ連邦憲法裁判所が「一企業一協定規制は合憲」と判決

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判決理由で裁判官は、同法は結社の自由を制限しているものの、立法府(議会)にはすべての被用者の利害を調整するための枠組みを創出することが認められているとの判断を示した。ただ、現行法では少数派組合の権利が十分に保障されていないとして、2018年末までの是正を議会に促した。
  
単一労使協定の原則は戦後ドイツの安定的な労使関係の要とされてきた司法判断に基づくルールで、これにより小規模労組の乱立とストライキの多発が抑止されてきた。小規模な労組を設立しても独自の労使協定を締結できず、メリットがなかったためだ。だが、雇用問題の最高裁である連邦労働裁判所(BAG)は2010年、単一労使協定は結社の自由を保障する基本法9条の規定に抵触するとして、同ルールの無効を言い渡した。
  
これを受けて同一企業の同一職業グループ内に複数の労使協定が併存するケースが発生。鉄道機関士労組GDLは14年以降、ドイツ鉄道(DB)でストを執拗に行い、GDL加入の乗務員のみを対象とする労使協定の締結を経営陣に迫った。
  
だが、所属組合が異なるというだけで待遇に違いが生じると従業員間に不平が高まり、企業内の雰囲気が悪化しやすくなる。GDLのDBストが市民生活や経済活動に大きなしわ寄せをもたらしたこともあり、政府・与党は単一労使協定法を2015年に成立させた。
  
同法の柱は、1つの企業内に複数の労組が存在し労使協定も競合する場合、従業員数が最も多い組合が締結した協定を全体に適用するというもので、アンドレア・ナーレス労働相は「少数派労組の消滅を狙ったものではなく」、結社の自由、スト権も侵害しないと強調した。
  
だが、最終的には多数派労組の協定しか適用されないようになるため、労使協定締結に向けて少数派労組が行うストは「相当性の原則(目的を達成するためにはそれに見合った妥当な手段を用いなければならないという原則)」に抵触し、裁判所がストを認めなくなる可能性がある。ストを行っても経営サイドへの要求を貫徹できないのであれば、ストは経済や市民生活に悪影響をもたらすだけの無益有害な行為となるためだ。
  
スト権が実質的に掘り崩されると、新たな組合員の獲得が難しくなり労組は存続の危機に直面する恐れがあるため、GDLやパイロット労組コックピットは違憲訴訟を起こしていた。
  
   
スト権の制約は発生せず
  
憲法裁の裁判官は今回の判決で、労使交渉に当たって労働者側の内部協調を促すという単一労使協定法の目的は正当であり、その実現に向けた個々の条項もおおむね妥当だとの判断を示した。
  
ただ、複数の協定が併存する場合に多数派組合が経営側と締結した協定のみが適用されることで、少数派組合の利益がないがしろにされてはならないとも指摘。現行法にはこの点で問題があるとして議会に法改正を促した。
  
具体的には、企業年金や雇用保障など被用者の生活設計に関わる分野で少数派組合が経営側と取り決めた協定については、多数派組合と経営側の協定を通して排除されてはならないとしおり、議会はこれを保障するルールを改正法に盛り込むことになる。
 
憲法裁判決に対し原告dbbタリフウニオン(GDLが所属する労組の中央組織)は、多数派労組が経営陣と取り決めた協定の受け入れを少数派組合に義務づけるルールを甘受することはできないと批判し、欧州人権裁判所への提訴を検討することを明らかにした。
 
裁判官は今回の判決で、単一労使協定法によって◇争議権は制限されない◇ストで発生した損害の補償責任リスクも高まらない――との判断も示した。この点についてはコックピットや勤務医労組マールブルガー・ブントなど原告の一部から肯定評価が出ている。
 
ソース:http://fbc.de/sc/sc40067/
   
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