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オバマ政権は「中国政権の転覆」について議論しなかった=元ホワイトハウス高官

 
オバマ政権で対中政策上級顧問を6年間務めた親中派エバン・メデイロス氏は、7月6日、米国の著名シンクタンク・戦略米国際研究センター(CSIS)での公開討議で、最新の米中関係について、学者や研究者たちと議論した際、冒頭の見方を示した。
メデイロス氏によると、オバマ前大統領、バイデン前副大統領、ほか国家安全保障担当は、中国の政治制度と米国の国家安全保障担当は、中国政権転覆案については「誰も話さず、一度も議論しなかった」と述べた。
 
メデイロス氏は、オバマ政権内で最も影響ある対中政策の立案者の一人とみなされている。対アジア外交政策を指揮する国家安全保障会議(NSC)のアジア上級部長も務めた。
 
親中派のメデイロス氏は、中国へ「融和路線」を貫いている。討論会のなかで「米中関係はすでに38年の歴史がある。互いに異なる価値観があり、競争している国だが、友好な関係を築くことができる」と述べた。
 
オバマ政権が、民主主義や自由主義という米国建国の平和的な基本理念を、独裁体制下にある中国に影響をもたらそうとしなかったと、米国保守派の支持層や多くの中国人権団体が訴えてきた。メデイロス氏のこのたびの発言は、それを裏付けることになる。
米国行政機関の中国問題委員会(CECC)は、オバマ政権の人権問題対応を批判し続けている。同委員会委員長クリス・スミス議員は、オバマ政権の中国政策は「8年間の後退だった」と、7月1日の中国の人権侵害についての公聴会で失望を示した。また、CECCは、中国の人権侵害に対する措置を講じるようオバマ政権に「嘆願していた」と同議員は述べた。
 
保守派ジャーナリストで、左派オバマ政権を批判しているビル・ガッツ氏によると、メデイロス氏は、ホワイトハウスでの役職に就く前、中国についての学術論文で「中国の軍事力は米国にとって、まったく脅威にならない」「中国政治は順調だ」と論じていたという。
対中政策では、現行のトランプ政権はより強硬政策を取っている。中強硬派の経済学者で現トランプ政権内の貿易政策「国家通商会議」トップのピーター・ナバロ氏は、中国の共産党政権と拡大する外交政策は、米国の国益と国家安全保障に直接的な脅威を与えていると、トランプ大統領に助言している。
 
8月、トランプ政権は中国の貿易慣行について調査を決定した。不公平な貿易があると認められた場合、米政府は中国製品に関税を引き上げるなどして、中国に対して経済制裁を加える。
(文・ポール・ファン/翻訳編集・佐渡道世)