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中国製車両は「安い」だけで契約拡大に懸念。NY地下鉄車両の契約は川崎重工が有力

 
ボンバルディア社と中国中車は共同で、ニューヨークの地下鉄輸送当局から、最大1700両もの製造契約を進めていた。しかし、情報筋によると、ボンバルディア社が同地下鉄との別の契約で、軽車両の納期を2年も遅延させているため、今回の2社合同の契約をもはや進展させない方針に転換したという。
 
ボンバルディア社米国部門担当責任者は、8月30日までに社内向けのメッセージで、「顧客の(契約キャンセルの)判断は、当社の対応の遅れという欠陥を容認できないことを示している」と知らせていた。カナダ通信社・カナディアンプレスが報じた。
 
このため、ニューヨーク地下鉄車両の製造に手を挙げるのは、川崎重工と鉄道大手・仏アルストムの共同入札のみとなった。同広報担当は「入札が確定したとは聞いていない」とロイター通信に回答している。契約が成立すれば、川崎重工のなかで最高額で最多車両の契約となる。
 
◆ 中国製車両、「安い」だけで契約拡大に懸念の声
 
世界の鉄道車両市場で売り上げ首位の中国の車両メーカ・中国中車にとって、とん挫したニューヨーク地下鉄の契約は、成立すれば最大規模の注文となり、海外市場での占有率拡大の足掛かりとなるものだった。ボンバルディア社と中国中車は2016年12月、この案件に共同入札することを発表。ボンバルディア社はニューヨーク地下鉄の車両製造の注文を35年にも渡り受注している。
 
思わぬ「信頼失墜」のレッテルを貼られたボンバルディア社だが、同社の入札レースの脱落は「大きな問題ではない。同社は、研究開発を進め技術を熟練させれば大型契約のチャンスは再び到来するだろう」と、調査企業コーマーク・セキュリティのアナリスト、デビッド・ティアマンは加メディアに語る。
 
しかし、ボンバルディア社と共同する「中国中車により安価になって、契約が進む傾向を、私はもっと懸念している」と述べた。
 
中国中車は、国内運営から海外鉄道市場の参入を野心的に進めている。この3年で、北米市場だけでも、シカゴに846両、ボストンには284両の製造契約を結んだ。現地紙によると、ボストン鉄道当局は、入札候補で競っていたボンバルディア社より「半値」で契約したという。
 
中国中車の安さについて、同社管理職は、生産規模が大きいこと、人件費の低さ、政府のバックアップを挙げている。
 
いっぽう、米シンクタンクのブルッキングス研究所のデビッド・ダラー氏は、米国では車両の安全性や労働、製造の条件は厳しいため、中国中車の低コストによる優位性は低いと見ている。2015年以降、中国中車の海外契約のキャンセルは目立ち始めたと指摘する。
 
香港メディア・ファクトワイヤは同年4月、シンガポール鉄道当局は、納入した中国中車と川崎重工の合弁会社が製造する新型車両35台のうち、26台に構造上の深刻な欠陥があることが発覚と報道。同国内メディアによると、問題の車両には、すでに亀裂が走っていたり、また、バッテリーの爆発により窓ガラスを破損させたケースもあるという。
 
「中国中車は海外市場で頓挫」と、中国国内誌「財新」は報じている。同社は2016年の純利益を悪化させた後も、2017年上半期の経営情況はまだ回復していないという。同誌によると、上半期純利益は37億元で、昨年同比23%減。売上高は887億元で、6%減らした。「これまで、中国中車にこれほどの業績悪化はなかった。現在の経営状況は非常に難しくなっている」と指摘した。
 
(翻訳編集・佐渡道世)
  
ソース:http://www.epochtimes.jp/2017/09/28294.html