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ドイツ・NOx濃度低減基金の規模倍増へ、外国メーカーへの拠出圧力高まる

  
欧州連合(EU)加盟国はNOxの濃度を1立方メートル当たり40マイクログラム(年平均)以下に抑制することを2010年以降、義務づけられている。ドイツではベルリン、ミュンヘンなど計28の都市・地域で同規制を順守できない状況が続いていることから、欧州委員会は2月中旬、政府に最終警告書を送付した。順守に向けた対策が早急に作成・実施されなければ、ドイツを欧州司法裁判所(ECJ)に提訴する恐れがある。
 
同ルールを根拠に環境保護団体が起こしている係争では7月下旬、欧州排ガス基準「ユーロ5」以下のディーゼル車を対象にシュツットガルトでの走行禁止を地元行政裁判所が言い渡した。上訴できるため判決は確定していないものの、自動車業界やNOx基準を遵守できない都市の危機感は大きい。
 
この問題の打開に向けて独政財界は8月初旬に会合(通称ディーゼル・サミット)を開催。同国の自動車メーカーはディーゼル車530万台のエンジン制御ソフト入れ替えと、旧型ディーゼル車を下取りに出して新車を購入する顧客に報奨金を支給するキャンペーンの実施を約束した。また、独政府と自動車業界は持続可能な都市モビリティ基金を設立し、それぞれ2億5,000万ユーロの拠出を取り決めた。
 
 
ハード修理要求を自治体は断念せず
 
今回の会合はこれに続くもので、アンゲラ・メルケル独首相が自ら主宰した。8月初旬のディーゼル・サミット合意に対してはNOx削減効果が小さく、ディーゼル車の走行禁止を回避できないとの批判が強く、該当自治体の危機感は依然として大きいためだ。
 
独政府はこれを踏まえ、基金への拠出額を3倍の7億5,000万ユーロに拡大することにした。当該自治体はそれぞれの交通事情に見合ったNOx濃度低減策を策定したうえで、同基金から資金を受け取る。40マイクログラム規制に抵触する80以上の自治体が基金を利用できる。
 
具体策の例としては◇公共交通機関の利用促進◇ディーゼルエンジン搭載の市内バスを電気駆動バスへと切り替える◇最新のデジタル技術を活用して車の流れをスムーズ化する(信号待ちを減らす「グリーン・ウェーブ」など)◇荷物配達・駐車場探しの効率化◇電気機駆動車用充電インフラの拡充◇自転車道・歩道の拡充――が挙げられている。メルケル首相は連邦議会(下院)選挙後の10月末か11月初旬に次回会合を開き、個々の具体策を検討する考えを表明した。
 
ドイツで車両を販売する国外の自動車メーカーはディーゼル車のソフト交換も持続可能な都市モビリティ基金への資金拠出も行わない。
 
これに対しては同国の州や自治体から批判が出ている。バーデン・ヴュルテンベルク州のヴィンフレート・クレッチュマン首相は国内で販売される自動車の35%を外国車が占めることを指摘。外資系メーカーはそれに見合った貢献をすべきだと訴えた。
 
メルケル首相はこれを踏まえ、14日に開幕するフランクフルト国際モーターショー(IAA)で外国メーカーに働きかける考えを明らかにした。国内メーカーにも基金への拠出金を増やすよう呼びかける意向だ。
  
基礎自治体の全国組織であるドイツ都市会議はNOx濃度低減に向けた基金への拠出金拡大を決めた国の姿勢を評価するとともに、都市部のNOxの最大4分の3をディーゼル車が排出していることを指摘。問題解決のカギは自動車メーカーが握っているとの見解を表明した。ディーゼル車のソフト交換で十分な効果が得られない場合は部品(ハード)レベルの修理が必要になるとしており、政府が主催する次回会合のテーマとすることを要求した。
  
ソース:http://fbc.de/sc/sc40263/
 
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