2017年9月27日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • copy

英EU離脱後に2年の移行期間設定、メイ首相が表明

英EU離脱後に2年の移行期間設定、メイ首相が表明

英国のメイ首相は22日、イタリアのフィレンツェで行ったEU離脱に関する演説で、2019年3月に離脱してから約2年間の移行期間を設けることを提案する意向を表明した。

この記事の続きを読む

 
同期間中はEU予算への拠出を続ける方針を打ち出すなど、行き詰まっている離脱交渉の打開に向けてEU側に歩み寄る姿勢を支援した格好となる。ただ、「清算金」と称される同拠出の額をめぐっては双方の主張に大きな開きがあり、交渉が進展するかどうかは不透明だ。
 
移行期間を設ける案は、英国のEU離脱直後に双方の関係が激変し、貿易などに大きな影響が及ぶのを避けるため浮上しているもの。離脱交渉で合意した取り決めを即座に実施せず、調整などに必要な時間を稼ぐことで、新たな関係に円滑に移行し、離脱による影響を緩和する狙いがある。
 
メイ首相は1月の演説で移行期間設定に言及していたが、具体的に2年という期間を示したのは初めて。首相は同期間中に英国がEU単一市場にとどまり、EU予算に拠出するほか、EU・英国間の人の自由な移動を認め、EUが新たに導入を決めた法令を英国でも適用することなどを打ち出した。
 
EUと英国の離脱交渉は2段階方式で、英国に居住するEU市民の権利保護、英国が拠出を約束したEU予算の分担金など「清算金」の支払いなど、離脱条件に関する交渉が進展しない限り、自由貿易協定(FTA)締結など将来の関係をめぐる協議に進まないことになっている。これまでの交渉は、最大の焦点とされる清算金に関して双方の溝が埋まらず停滞しており、10月のEU首脳会議で第2段階の交渉に進むことを取り付けたい英政府にとって厳しい状況にある。
 
メイ首相は今回の演説で、EU市民の権利保護について、移行期間中は関連する問題に関するEU司法裁判所の判決を英国の裁判所が尊重することを表明し、EUに大きく歩み寄った。
 
一方、清算金については、EUの現行中期予算の最終年である2020年まで、約束した拠出金を支払うことを言明。これによって移行期間中は拠出を続ける方針を示した。拠出額は明示しなかったが、英政府による中期予算の年間拠出額は100億ユーロ程度であることから、2年で計200億ユーロを支払う計算となる。
 
EUは600億ユーロ程度の清算金支払いを求めているとされる。英政府筋は英フィナンシャル・タイムズに対して、メイ首相が示唆した200億ユーロはあくまで最低ラインで、上積みされるとの見通しを示したが、どこまで溝が埋まるか不透明だ。
 
4回目となる次回の離脱交渉は25日に開始される。メイ首相の演説は、これを前に英国側が柔軟な姿勢を示すことで、交渉を前進させたいという意図がある。EU側はバルニエ首席交渉官が声明で「建設的な精神」に基づくもので、「(交渉の)進展に向けた意欲を示した」と述べるなど、一定の評価を示した。ただ、なお提案の詳細が不明なため、第1段階の交渉が早期に妥結するかについては慎重な姿勢を崩していない。
 
ソース:http://fbc.de/eur/eur4537/

この記事の提供会社

logo

FBC Business Consulting GmbH

http://fbc.de/

メルマガ会員  
 

出島