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英政府 EU離脱後の「アイルランド国境問題」の提案を発表

 
EUと英国は昨年12月、北アイルランドとEU加盟国アイルランドの国境問題について、英国がEUを離脱してからも人やモノの流れを制限しないようにするため、厳しい国境管理を避けることで合意した。ただ、それをどのような形で実現するかは決まっていない。
 
EU側は2月末に公表した「離脱協定」の草案で、国境問題の現実的な解決策が見つからない場合の「バックネット」として、北アイルランドを今後もEUが設ける「共通規制地域」に組み込み、EUの関税同盟に事実上とどめるという案を提示。これに対して英国側は、北アイルランドと英本土の間に事実上の国境が引かれるとして反発しながらも、デービスEU離脱担当相が3月、他の解決策がない場合の選択肢として同案を受け入れる用意があると表明した。ただ、英国は国の分断に等しいEU案の実現を避けたいところで、対案をまとめる作業を進めていた。
 
メイ首相が発表した対案は、英国が2019年3月末にEU離脱した直後に双方の関係が激変し、貿易などに大きな影響が及ぶのを避けるため設定される「移行期間」が終了する2020年12月末までに国境問題を解決できない場合は、英国が暫定措置として21年12月末まで関税同盟にとどまるというもの。EU案と比べて、北アイルランドだけでなく英国全体が関税同盟にとどまり、しかも期限が設けられる点が異なる。
 
政府内では英国全体が関税同盟離脱を先送りする案について、国の分断という問題は解消するが、EUのルールに従う期間が長引くとして、閣内のハードブレグジット派が反発。対案をめぐる調整が難航していた。21年12月末までに国境問題を抜本的に解決できるという前提で期限を設けることで、こうした不満を吸収し、提示にこぎ着けた。
 
EUのバルニエ首席交渉官は8日の記者会見で、英政府が対案を出したことを歓迎しながらも「答えより多くの疑問を出してきた」と指摘。関税同盟継続を英国全体に拡大することはできないとして、難色を示した。
   
英国とEUは10月までに離脱交渉を完了することを目指している。目下の最大の焦点となっている国境問題に関しては、6月28、29日に開かれるEU首脳会議で決着させたい考えだが、双方の溝がなお埋まっておらず、先行きは不透明だ。
   
ソース:http://fbc.de/eur/eur5280/