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イギリスのEU離脱交渉期限が迫る 政府は「合意なき離脱」の対策を発表

 
実質的な交渉期限である10月が迫るなか、最悪のシナリオである「合意なき離脱」によって生じる事態を周知することで、企業や国民にメイ首相が掲げる離脱方針への理解を促す狙いがあるものとみられる。
 
今回公表された148ページに及ぶ文書は貿易、金融サービス、医薬品など25分野で政府の対応や企業に求められる行動をまとめたもの。政府は合わせて80以上の分野について同様の文書を作成しており、9月末までに順次公表すると説明している。
 
ラーブEU離脱担当相はロンドン市内で演説し、「交渉は前進しており、合意は手の届くところにあると確信している」と強調。EUとの合意形成が最優先との考えを示したうえで、「政府はあらゆる可能性に備える必要がある」と述べ、対策の重要性を訴えた。
 
英国はEU離脱に伴い関税同盟からも離脱することになるため、貿易分野ではEUとの間で新たに税関の手続きなどが必要になる。このため政府は国境管理の人員を増強する方針を打ち出すと共に、英国に拠点を置く輸出入業者に対し、新たなシステム開発や輸送業者などとの調整を呼びかけた。
 
金融分野ではユーロ建て取引の処理に要する費用と時間が膨らむほか、英国・EU間でクレジットカードを利用した際の手数料が引き上げられる可能性などを指摘している。
 
一方、英政府は相互承認主義に基づき、離脱後3年間は英国内に支店を置くEUの金融機関に事業継続を認める方針で、EU側にも同様の対応を求めるものとみられる。
 
このほかEU域内で製造される医薬品の入手に時間がかかる可能性があるとして、製薬会社に6週間分の備蓄を求めている。
 
また、農業従事者に対しては、現時点でEUが交付している補助金と同等の援助を継続すると約束する一方、オーガニック食品の生産者などに対しては、EU市場への輸出には新たに承認を取得する必要があると警告した。
 
離脱交渉で最大の焦点となっている英領・北アイルランドと隣国アイルランドの国境問題に関しては、EUとの合意がないまま離脱した場合の対応について「北アイルランド固有の事情を最大限考慮する」との政府方針をくり返すにとどまり、野党は貿易分野などで具体策を打ち出していない点を非難している。
 
ソース:https://fbc.de/eur/eur5502/