2019年3月20日

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中国、新しい外商投資法を可決 欧米の懸念払拭できるか

中国、新しい外商投資法を可決 欧米の懸念払拭できるか

中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は15日、外資企業の権益保護を強化する外商投資法を、賛成2929票、反対8票、棄権8票で可決した。来年1月1日から実施する。中国当局は昨年12月下旬に同法案の草案の本格的な審議に入ってから、わずか3カ月という異例の速さで成立した。

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同法は、中国の政府機関による外国企業への強制技術移転の禁止や、知的財産権の侵害に対する法的処罰等が盛り込まれている。

米中貿易戦が始まってから、中国の経済減速が急速に進み、中国当局は大きな圧力に直面している。中国当局は共産党政権を揺るがしかねない最大要因である経済不安を緩和しなければならない。景気回復の決め手は、米側の対中関税制裁の解除である。このため、中国当局は、米側が懸念する強制技術移転などを盛り込んだ外商投資法の通過によって、米中通商協議の早期合意を急ぐ必要があるとみられる。

【不明瞭さと懸念】
欧米の専門家と業界関係者は、中国の外商投資法が成立しても、中国国内の投資環境が直ちに改善されることはなく、さらに欧米政府と企業にとって新たな懸念が生じると指摘した。

米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)16日付によると、米シンクタンク、ケイトー研究所(Cato Institute)貿易政策研究センターのサイモン・レスター(Simon Lester)氏は、「外国投資法の通過は、中国当局が米政府に対してある程度の譲歩の姿勢を示した」としながらも、「問題の解決にはならない」と述べた。同氏は「同法の条例の多くは曖昧で、今後の実施状況を見極める必要がある」と指摘した。

在中国米国商会の政策委員会責任者、レスター・ロス(Lester Ross)氏は、外商投資法は「漠然としている」と指摘した。ロス氏は、同法では「株式の何割を保有すれば、外資企業になるかについての定義がはっきりしていない」と示した。

米中関係に詳しい米学者のオースティン・ローウェ(Austin Lowe)氏は、米法律関係サイト・Lawfareに投稿し、中国当局が異例の速さで外商投資法を成立したことは、「米側の要求をごまかすためである」との見方を示した。

またローウェ氏は、外商投資法の一部の条例が欧米各国にとって新たな懸念になる可能性を示した。

外商投資法の第40条は、いかなる国・地域が中国からの投資に対して差別的な「禁止・制限」を実施した場合、中国も相応の措置を講じ対抗していくと定めている。

ローウェ氏は「外国政府が中国企業の投資を規制すれば、中国当局はこの第40条に基づき、報復する可能性が高まった」との見方を示した。

在中国欧州連合(EU)商会は声明で、外商投資法第40条について、「外国企業に新たな不確実性をもたらした」と強調した。EU商会は、投資規制をめぐる国家間の対立は、世界貿易機関(WTO)などの国際機関を通じて解決できるとした。

VOAは、外商投資法は国有企業への補助金給付の禁止に関する条例がないと指摘した。中国当局の産業補助金は、強制技術移転などと同様に、トランプ政権が中国当局に是正を求める「構造問題」の1つである。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)15日付によれば、北京市にある対外経済貿易大学の黄勇教授は、「外商投資法は新しい法律ではない。過去に議論したものをもう一回議論しただけだ」との見方を示した。中国の「行政法」では、すでに商業機密の共有を禁止したという。

中国当局は2015年、外商投資法について審議を進めたが、その後棚上げにした。2015年の草案には171項目あるのに、3月15日に可決された同法には41条しかない。

【「他の方法で技術移転を強要」】
いっぽう、外商投資法は外資企業が「国家安全、または公共利益を損ねてはいけない」と規定する。

オースティン・ローウェ氏は、この条例が「漠然だ」と非難し、「これによって、抜け穴ができ、中国当局が外資企業の投資活動への干渉をさらに強化する恐れがある」という。

EU商会のマッツ・ハルボーン(Mats Harborn)会長は、中国当局は「国家安全について恣意的に定義することができる」と異議を唱えた。今後、中国当局は必要があれば、依然として外資企業に「産業情報を要求することができる」との見方を示した。

台湾の国家政策研究基金会の曽志超氏は米ラジオ・フリー・アジア(RFA、15日付)に対して、外資企業への技術移転強要をめぐって、中国当局は他にも方法があるとの見方を示した。

「中国税関当局はこのほど、米テスラ社の電気自動車の通関手続きを停止した。テスラ社が大幅に値下げしたため、当局が国内の電気自動車産業を保護するのに採った対抗策だとみられる。この通関手続きの停止について、テスラ社は全く情報公開していない。テスラ社が中国当局に強い圧力を受けたことが推測できる」

曽氏は、「中国当局は中国国内でのビジネスチャンスを提供するという『利益』と行政上のさまざまな『圧力』を通じて、外資企業が自ら技術を渡すように働きかけることができる」と述べた。

VOAによると、米経済界の一部の団体はトランプ米大統領に対して、中国との合意を急がないように呼び掛けている。「早期の合意に達成しても、曖昧な内容では中国当局による不公平な貿易慣行が改善されないからだ」

(大紀元:翻訳編集・張哲)

ソース: https://www.epochtimes.jp/2019/03/41263.html

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