2019年4月4日

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ベトナム:国内市場開放で、外資小売業者が怒涛の参入

ベトナム:国内市場開放で、外資小売業者が怒涛の参入

包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)の影響に加え、経済的需要審査(ENT)の要件を撤廃することは、国内小売業界に一層のプレッシャーをもたらし、地元小売業者においては、外国企業による併呑を防ぐための競争力向上を強いられている。

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合意から施行まで5年を要したCPTPPの公約の下、ベトナムは、ENTの基準が求める、外国小売業者が第2の店舗をベトナムに開設する場合は地元当局の許可が必要、という規制を撤廃する方針だ。
 
現地の専門家によると、この規制を撤廃すると、外国小売業者がベトナムに過剰に参入してしまう可能性がある。ベトナムにおける小売業者の競争における新参企業には、日本の住友商事と地元の小売・不動産コングロマリットBRGグループとの合弁会社、Fujimart Vietnam Retailがある。Fujimartは、近代的な日本のリテールノウハウを活かし、ベトナムの裕福層を集客しようとしている。
 
特に2024年以降は、他のCPTPP加盟10ヵ国からの小売業者に対するENTが廃止されるため、外国小売業者の数は着実に増加していくだろう。
 
「これはすなわち、外資企業が自社の小売店をどこでも簡単に設営でき、加盟国全体でエンドユーザーに製品を配布できること、つまり競争がますます激しくなることを意味します」と、ベトナム小売業協会会長のDinh Thi My Loan氏は述べる。
 
ENTは、国内小売業界を保護するためにベトナムが設定した小売店の設営基準を定める。商業活動のための十分なインフラが整っている地域に500平方メートル未満の小売店を設営する場合、ENTは外国小売業者には適用されない。
 
「外資小売チェーンは総市場シェアの50%を占めており、またその売上高は国内小売チェーンの7倍から8倍です」とハノイスーパーマーケット協会の元会長であるVu Vinh Phu氏は本紙VIRに語る。
 
セントラルグループ、ロッテ、イオン、オーチャンなどの大企業がこの国の小売業を一新した。
 
ファッション・アパレル産業では、日本のブランドUniqloが今年ベトナムで最初の店舗を立ち上げる予定だ。ZaraとH&Mに加えて、Uniqloは世界のファッションブランドの上位5社の中でベトナムに進出する3番目のブランドとなり、総輸出高の20%という控えめな市場シェアを占めるベトナムの大手企業に大きなプレッシャーをかけている。
 
ベトナムが外国小売業者への扉を開いているということから、地元の企業は競争力を高めるためにテクノロジーへの投資を強いられている。
 
ベトナムのスーパーマーケットチェーンVinMartは、13店舗でScan&Goを導入した。消費者はVinIDアプリを使い、商品のバーコードをスキャンしアプリ上の仮想カートに追加できる。支払後は、注文を後で店舗で受け取るか、または2時間以内での配送を依頼できる。アプリはまた、商品の製造元と産地情報を提供する。2019年3月から、Scan&Goを使用する消費者にもプロモーションオファーと購入割引が適用される予定だ。
 
VinMartと並び、Saigon Co.opもまた顧客集客のために多くのアイデアを実行している。例えば、小売ビジネスの多様化と近代化、また市場動向に沿った独自機能の作成である。オンライン上で効果的に販促するため、Co.opmartやCoop FoodなどのSaigon Co.のほとんどの小売ビジネスは、デジタルツールを使用し、また顧客と会話するための独自のソーシャルネットワーキングサイトを持っている。
 
「Co.opmartは、お客様のより迅速な買い物のためScan&Goツールを急速に採用しています。この技術を応用することで、Co.opmartでの買い物は簡単、便利、そして迅速になります」とSaigon Co.の担当者は言う。今年も同グループは、ネットワークの拡大と商品基準の引き上げを継続する一方、新しいショッピングビジネスを立ち上げ、すべての小売ビジネスにテクノロジーを活用していく予定だ。
 
VinMartとSaigon Co.の事例からこのようなアプリの影響を推定するのは早計かもしれない。だが、Mobile World Investment Corporation(MWG)はテクノロジー投資を通じて成功した企業の非常に良い例だ。
 
3月20日に開催されたハノイの投資・マーケティング・小売フォーラムにおいて、ベトナム電子商取引協会のTran Trong Tuyen事務局長は「多くの企業がテクノロジーを利用できれば、Eコマースに参加し良い結果を得ることができるでしょう」と述べた。テクノロジーの利用に失敗すれば、Eコマースに参加することは企業に多額の資本を要求することとなる。
 
「FPT Shopからのオフライン収入とMWGからのオンライン収入には違いがあります。 2014年から2018年の間に、FPT Shopのオフライン収益は、6.56兆ベトナムドン(2億8550万米ドル)から15.3兆ベトナムドン(6億6510万米ドル)と2.3倍増加しました。一方、MWGのオンライン収益は、8510億ベトナムドン(3700万米ドル)から12.35兆ベトナムドン(5.37億米ドル)へと14.5倍増加しました。この収益を実現するため、MWGはテクノロジーとITチームに大規模かつ系統的に投資を行ってきました」とTuyen事務局長は述べた。
 
ソース:http://apparelresource.asia/news/item_3799.html

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