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カンボジア:アパレル縫製工場労働者がEUに関税をめぐる嘆願書を提出

 
衣料品製造は過去数年間、同国の経済成長に不可欠であり、労働者の貧困からの脱出を支えてきた。しかし労働者たちは今や、自分たちが政府とEUの間で板挟みになっていることに気づいた。
 
衣料産業を含む製造業におけるカンボジア労働者40万人を代表する労働組合は、嘆願書の中で、EUに対しカンボジアが現在欧州市場で享受している非関税措置を撤回しないよう求めた。
 
「この声明に署名した私たちは、国の最大の雇用産業で働く、70万人以上の男女の一人です。私たちが最も心配しているのは、苦労して稼いだ生活を失うことになるのではないかということです」と、カンボジア全国労組同盟会議(NACC)からの書簡は述べている。
 
カンボジアは、EUの「武器以外すべて(EBA)」呼ばれる貿易協定でカバーされている49カ国の一つである。この協定は、世界の最貧国が兵器と弾薬を除く製品を、欧州市場に無関税で輸出することを認めている。この協定はカンボジアの経済を支えてきた輸出ブームの原動力となった。最大の輸出先はEUで、衣類が主な輸出品だ。
 
EUがカンボジアの優先的地位を廃止すれば、カンボジアの競争力が低下し、衣料産業とそれに依存する労働者が打撃を受ける可能性がある。EBAの下では、国連と国際労働機関が定めた基本的人権と労働の権利を遵守しなければ、各国は免税アクセスを失う可能性がある。一年以上の間、その状況がカンボジアで悪化してきた。
 
EUは、カンボジアのフン・セン首相とカンボジア人民党政権下での労働組合への嫌がらせと政治的抑圧を指摘したが、2018年の総選挙を前に、警察は野党第一党の党首を逮捕し、最高裁判所は党を解散させた。カンボジア人民党はすべての議席を獲得した。EUは2月、監視期間を設け、カンボジアに改革を迫ることで、カンボジアの特恵貿易地位を停止する手続きを開始した。その一ヵ月前、テッド・クルーズ上院議員(共和党・テキサス州)とクリス・クーンズ上院議員(民主党・デラウェア州)は法案を提出し、もしそれが可決されれば、米国はカンボジアに対する特恵貿易地位を見直すことになる。
 
衣料品工場の労働者たちは、もしEUと米国がカンボジアのEBA下の貿易アクセスを剥奪すれば、関税による損害を被るのは自分たちになると恐れている。NACCは、カンボジアが貿易アクセスを失うことになれば、ブランド各社はより安価な服を製造できる場所を探すことになると考えており、衣料品工場労働者の43%、履物工場労働者の20%が職を失うリスクにさらされるとしている。
 
すでに、国際的なブランド数社はカンボジア政府にその緩和を求めているが、NACCは一部のブランドは製造を他の場所に移すと脅している、と非難している。欧州議会向けに作成された報告書は、NACCほど悲惨な結論は出していないが、それでも楽観視できるものではない。
 
「最も参考になるのはスリランカで、EUへの繊維輸出への依存度も高い。[免税アクセスが]停止された7年間(2010年~2017年)に、約1万人(同部門の労働力の4%)が職を失った」と報告書は記している。繊維製品の輸出は伸び続けたが、貿易アクセスを維持していた競合他社と比べて伸びが鈍化した。「このような前例から判断すると、カンボジアの繊維労働者の半数以上が失業するとの予測は悲観的すぎるが、一方で潜在成長力を失うことはほぼ確実である」とされている。
 
ソース:http://apparelresource.asia/news/item_3873.html