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インドネシア:レバラン帰省で隔離監視 大統領 全国への拡大防止で

 
レバランの長期休暇に合わせ、例年2千万人規模の移動が行われてきた。首都圏の出稼ぎ労働者などが乗用車やオートバイ、公共交通機関で地方に戻る形が大半を占める。
 
大統領は「コミュニティの混乱」を懸念し、帰省を禁止しない方針をとった。隔離・監視措置の期間は到着後14日間とする。町村レベルで実施する形で、各地のRW(町内会)などに協力を呼び掛けている。
 
また、休暇期間の移動も検討。今年の大祭は5月24、25日で、5月21日~6月1日は12連休となる予定だった。移動した場合は、「帰省者の支援や観光地の無料化が可能」としており、国内の反発をかわしたい姿勢だ。
 
収入の減少で出稼ぎ労働者が帰省せずにすむよう、援助も強化する。
 
一方で感染拡大の懸念は拭えず、政府は帰省自粛を強く呼び掛けている。また公共交通機関に運航休止を求める動きが強まっており、長距離列車では既に休暇期間を含む日程での休止が発表されている。
 
内務省からは期間中に一部の道路を封鎖し、帰省による交通量を押さえ込む措置を検討しているとの情報もある。
 
ジャカルタ特別州での感染者は2日までに885人となり、死者は90人に達した。アニス・バスウェダン・ジャカルタ特別州知事は、地域間の移動を制限する封鎖措置の実施を中央政府に要請したが、封鎖に慎重な大統領の方針で却下されている。
 
ジョコウィ大統領は、現状では「大規模な社会的制限」措置をとる方針を示し、保健省などに細則をまとめるよう指示している。ジャカルタ特別州政府もこの措置を実行する方針だ。具体的には、学校、職場の休止や宗教活動の制限、公共の場所での行動制限などになるとみられる。
 
だがジャカルタ特別州政府関係者からは「既に学校を休みにし、公共交通機関も制限したが、感染は拡大している。どう変わるのか」と大統領の方針を疑問視する声もある。
 
政府は現在まで、国民に外出や活動の自粛を要請してきた。だが国内の混乱と反発、経済への影響、治安悪化などを懸念し、強制力のある措置を取れていないとの指摘がある。
 
国内の感染者は3月2日の初確認から1カ月で1790人まで拡大。一部の地方政府は独自に封鎖措置を続けている。中央政府が今後どこまで踏み込んだ対応をとっていくのか、注視される。(8面に関連記事)(大野航太郎、リンダ・シラエン)
 
ソース:https://www.jakartashimbun.com/free/detail/51400.html