2016年1月13日

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フィリピンがアジア・インフラ投資銀行(AIIB)協定に署名

フィリピンがアジア・インフラ投資銀行(AIIB)協定に署名

中国主導のAIIB創設メンバー57ヶ国中、唯一署名を見送っていたフィリピンが12月末に署名を行った。
これによってフィリピンは毎年3900万ドル、5年間で計19600万ドルをAIIBに資本として払い込むこととなった。

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しかしながら、フィリピン財務省は『加盟国は2016年12月までに、国内における批准手続きを行う必要がある』とし、これは議会による批准が必要な事を指していて、アキノ政権後に誕生する新大統領および審議会がどのようなスタンスを取るのか未定で、若干の不安定要素を残したままの署名であった。
 
AIIBは中国が世界銀行やフィリピンに本部のあるアジア開発銀行(ADB)を主導する日米の金融体制に挑戦する形で、アジアを中心としたインフラを重点的に融資する考えから中国の現政権が2013年10月、インドネシアで開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力)会議で提唱。
 
拙速な構想と見られるもドイツやフランス、イギリスといったG7のメンバーなどが参加を表明するが、日本はアメリカの顔色を伺って、アメリカ追従で不参加を表明。
 
これについては安倍政権の反中姿勢が効いていると見られが、アメリカに追従しないでAIIBに加盟するべきとの声は日本の与野党、経済界でも強い。
 
AIIBは中国の経済戦略の一環としてインフラ整備を餌に加盟国を巧妙に釣ったのは確かだが、先頃国際通貨基金(IMF)でも中国は通貨の元を従来のドルや円を含む4大通貨に割り込ませることに成功し、国内経済の見通しが暗い中、中国金融当局の政治的勝利は着々と進んでいる。
 
フィリピンが当初署名を渋ったのは中国との領海問題で国際仲裁裁判所へ提訴中で、膨張する中国の覇権主義を嫌ったためとみられるが『政治と経済は別』と判断した模様。
 
こういった金融分野で日米の持っていた均衡が破れたのは、ADBに見られるような歴代の総裁を日本から選ぶ硬直した組織や運営も原因とも見られるが、中国の途上国のインフラ整備という一点に絞った戦略が功を奏したと見て良い。
 
しかしながら、途上国のインフラ整備のためとはいえ、その実態は中国企業の海外進出を助ける融資の『中華』であり、中国人の慢性的な汚職体質が途上国に蔓延、拡大させるのではないかとの危惧も強い。
 
また、アジア各地で中国企業が行っている大規模プロジェクトでは遅延や予算超過などの失態が多く、無理して受注した中国政府と中国企業の無責任体制も批判の的となっている。
 
実際、フィリピンでもマニラ首都圏から北方に伸びる鉄道路線を中国はアロヨ政権の時に入札、受注したが、アキノ政権最後の年になってもプロジェクトはとん挫したままで、結局、日本のODAを使ってプロジェクトを再開する事態に至っている。

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