フィリピン・セブの前市長が大統領名指しの違法薬物関与者159人に
違法薬物犯罪者に対して容赦ない取り締まりを公約に、5月の選挙戦で当選を勝ち取ったドゥテルテ大統領だが、大統領就任前後から警官による容疑者への問答無用の発砲によって殺害される例が激増し、就任1ヶ月で400人以上が射殺されていて、その勢いは止まらない。
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そのため国内及び国際社会の人権団体などから『超法規殺人』として批判を浴びているが、一向にドゥテルテは意に介していない。
国内に違法薬物に関与しているのは警官や軍人、公職に就いている人物は従来から指摘されていて、ドゥテルテはこれら人物を名指しで公表し、先には元国家警察高級幹部であったセブ島北部のダアンバンタヤン町長など、元高級警察官僚を公表。
8月7日にセブを訪れたドゥテルテはラプラプ市内の国軍基地で演説を行い、その中で違法薬物関与者として第2弾の159人の名前と役職を公表した。
公表された人物にはベンゲット州バギオ市やイロイロ州イロイロ市など7人の裁判官があり、内1人は2008年1月に何者かによって殺害され、2人は退官していた。
残る現職裁判官4人に対してドゥテルテは自発的に辞職するように警告を行った。
また、数多くの自治体首長では5月のセブ市長選で3選を狙い、復権を目指した元市長のオスメニャに大差で敗れたマイケル・ラマ前市長が含まれていて大きな波紋を呼んでいる。
ドゥテルテの今回の指摘には具体性がないためもあって、ラマ当人は疑惑を否定するために家族や郎党を交えて記者会見などを開いて打ち消しに必死の様相で、マニラへ釈明に行く騒ぎとなっている。
一方、ラマを破ったオスメニャだが、こちらも有力支持者の一人に前回、違法薬物関与者と公表された元高級警察幹部がいて、薬物汚染は広い範囲に渡っていることが明らかになった。
自治体関係市長クラスでは神風特攻隊が飛び立ったパンパンガ州マバラカット市、首都圏に近いラグナ州サン・パブロ市、ミンダナオ島ミサミス・オクシデンタル州オサミス市、ラナオ・デル・スルー州マラウィ市など各市長が関与と指摘。
オサミス市、マラウィ市などは副市長もリストに入っていて同地方の薬物汚染の実態が浮き彫りになった。
町長クラスでは、特にパナイ島イロイロ州やミンダナオ島のイスラムの影響下にある町長が多数槍玉に挙がっている。
今回のリストの中で、3分の1は国家警察及び国軍関係者が占め、この他にも下院議員経験者など地方の政治屋が多数含まれていて、従来から指摘されていた政治屋絡みの違法薬物売買の一端が明るみになった。
この公表を受けて元ダヴァオ警察署長で、ドゥテルテの当選で異例の抜擢を受けた国家警察長官のデラロサは身内である警官の捜査を開始すると表明。
今回の公表がどの程度の違法薬物撲滅に効果が出るかは不明だが、闇に蠢くこれら公表された人物が、超法規的措置による暗殺の恐怖を抱いていることは確かなようだ。
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