2017年3月28日

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日欧EPAの早期合意が目指される、2つの理由とは?

日欧EPAの早期合意が目指される、2つの理由とは?

23日、日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)の年内の早期合意を目指す方針が確認された。EPAが締結されれば、日欧の自由貿易が始まる。では、なぜ早期合意が目指されるのか。そこには2つの理由がある。

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1つ目の理由は、米国の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)離脱の影響だ。貿易交渉に関して米国と個別に交渉することになれば、アジア各国で製造して米国に輸出する企業は、各国間のEPA合意状況により打撃を受けるかもしれない。英国が離脱したものの依然として巨大市場である欧州とのEPA締結には、トランプ米政権がTPPからの離脱を通告したことで大きく揺らいでいる日本の通商戦略を早期で立て直したい狙いがある。
 
2つ目の理由は、欧州での相次ぐ大型選挙で、大衆迎合主義(ポピュリズム)が台頭していることにある。ドイツやフランス、イタリアなど欧州主要各国で大型選挙が相次ぐ中で、「アメリカ第1主義」を掲げる米国トランプ政権の誕生に後押しされ保護主義的なポピュリズム政党が勢いを増しているのである。ポピュリズム勢力が主流派政党に挑む構図のもと、市場開放に対する反発が強まる恐れがあるのである。早期合意が好ましい。
 
昨年末にも合意が目指されたが、至らなかった。農産品交渉でEUがモッツァレラやカマンベールなどチーズの関税撤廃、ワインで関税の即時撤廃、豚肉で関税引き下げを求めた。日本としては、TPP以上の妥協はできなく交渉は難航した。
 
EPA早期合意のためには、日本側の少しの妥協が必要になるかもしれない。そうでなければ、合意に至らなかった場合、妥協以上の損失を受けるかもしれない。
 
>>>合わせて読みたい『世界貿易均衡の不安にWTOが動く、「貿易円滑化協定」で輸出拡大』

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