2017年12月18日

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ドゥテルテ大統領による「ミンダナオ鉄道敷設」は赤字必至

ドゥテルテ大統領による「ミンダナオ鉄道敷設」は赤字必至

国内インフラの拡大投資で景気の浮揚を図るのはどこの国でも共通するが、インフラ投資を海外からの資金で頼るとなると問題は多く、インフラ充実化を掲げるドゥテルテ政権の目論む巨大プロジェクトの整合性に問題があるのとの指摘が出ている。

【写真は辛うじて運行しているマニラ首都圏の鉄道沿線】

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特にドゥテルテが領主然としているミンダナオ島に敷設予定の鉄道プロジェクトに対して批判が高い。
  
このプロジェクトは総延長1532キロメートルに及び、総工費は現在段階では2110億ペソ(約4700億円)を見込んでいる。
  
ドゥテルテの地盤、ダヴァオ市を核にして、北上してカガヤン・デ・オロ、ブトゥアンを経由してミンダナオ島北端のスリガオに至る線。
   
カガヤン・デ・オロから西に分かれてイリガン経由のミンダナオ島西端のサンボアンガへ至る線。
  
また、ダヴァオ市から南下するゼネラル・サントスへ至る線などミンダナオ島の主要都市全部を繋ぐ路線となっている。
  
12月初旬にこの計画の第1期として、ダヴァオ市を中心に南のディゴス市と北のタグム市を繋ぐ全長102キロメートルの路線が2018年の半ば頃から工事に入る予定と担当部局から発表された。
 
この路線への費用は352億ペソ(約782億円)を予定されているが、早くも最初の見積もり総工費を大きく食い込む割合となっている。
 
同路線は8ヶ所の駅を設けるが、予定路線の地価が異常な値上がりを招いていて、一部の政治屋、自治体関係者とプロジェクトを契機に一儲けしようとする企業などが組んで暗躍していることも指摘されている。
 
そういった動きとは別に、ミンダナオ島初の鉄道敷設の妥当性、将来性にも疑問が投げかけられている。
  
フィリピンには国営鉄道が早くから運営され、辛うじてルソン島南方線を運営しているものの、人の移動はバスにとって代られていて久しく、また保守が出来ないために長距離路線は不全状態となっている。
 
プロジェクトを推進する側はこういった轍を踏まないとしているが、鉄道は保守が命で、保守管理に弱いフィリピンには信頼がおけないとの声も高い。
  
実際、首都圏で走っている軽量高架鉄道では故障が頻発し、路線によっては保守を委託する会社を何度も変える不手際も発生している。
 
また、自動車時代に入り、他と比べて道路状況の素晴らしさを誇るミンダナオ島では、鉄道利用者があるのかとの問題も投げかけられている。
 
これに対して、当局は第1期のタグム市-ダヴァオ市-ディゴス市線では、現在3時間半を要する時間が鉄道なら3分の1になると自画自賛するが、その根拠は線路で走っただけの計算であると批判を浴びている。
  
同時に、同区間での利用者は1日、13万4千人と弾き出しているが、運行本数や時刻表などが具体的にない段階で利用者数を出すのは早計と見る向きが多く、赤字は免れないとの声も高い。
  
それでも、当局はドゥテルテ大統領の任期が切れる2022年までには一部でも運行開始し、大統領の実績、手柄作りを急いでいるが、最終的に失敗のツケは国民に返るため、何が本当に必要、優先なのか今一度ドゥテルテの建設、土木企業優先の見直しが必要との声が上がっている。
 
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news02&config=&command=body&no=342

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