2016年6月24日

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フォルクスワーゲンが長期戦略発表、電気自動車30モデル以上投入へ

フォルクスワーゲンが長期戦略発表、電気自動車30モデル以上投入へ

自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)は16日、グループの長期経営戦略「トゥゲザー‐シュトラテギー2025」を発表した。モビリティのあり方が今後大きく変わっていくことを踏まえ収益の新たな柱を構築していく考えで、電気自動車(EV)の生産・販売を大幅に拡大する。また、EVの中核部品である電池、およびデジタル化、自動運転を技術の重点強化分野に据えた。

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世界の自動車市場では現在、ガソリン車とディーゼル車が大半を占める。だが、環境・温暖化問題や将来の石油資源枯渇を受けて、今後はEVなど環境対応車の重要性が高まると予想されている。
 
VWはこれを踏まえ、2025年までにEVを30モデル以上、市場投入する方針を打ち出した。台数ベースで同年に200万~300万台を販売する考え。VWグループの販売総数の約20~25%を占める計算で、ディーゼル車とガソリン車の比率は減少することになる。
 
この発表から逆算すると、25年のグループ販売台数で1,000万~1,200万台を想定しているとみられる。
 
VWではヴィンターコルン前社長が2018年までに世界販売台数1,000万台に拡大するとの目標を07年に打ち出し販売実績を急速に拡大。14年に1,014万台を記録し4年前倒しで達成した。だが、野心的な拡販計画がディーゼル排ガス不正問題の大きな原因となったことから、ミュラー社長は規模の拡大を最優先する路線から決別した。
 
燃費が良いとしてこれまで注力してきたディーゼル車についても長期的には見通しが厳しいとみており、同社長は『ハンデルスブラット』紙に「ディーゼル車の開発に多額の資金を投じ続けることには将来のある時点以降、疑問符が付く」との見方を示した。
 
アジアを中心に大きな需要が見込まれる低価格車については同地の企業と提携して市場を開拓していく。提携交渉はすでに進んだ段階に達しているという。
 
<電池は内製化へ、合弁も視野に>
 
自動運転については自動車各社のほか、グーグルやアップルなどの米IT大手も精力的に開発を進めている。今後の競争力のカギを握る技術であり、VWは今回、自動運転とそれに欠かせない人工知能(AI)を自社で独自開発することを決めた。ソフトウエアの専門家1,000人の新規採用を計画しており、運転者となるAI「自動運転システム(SDS)」を開発し10年以内に当局の承認を得ることが目標だ。数十億ユーロ規模の投資を考えている。
 
VWは車載電池をこれまでアジアのサプライヤーから調達してきた。だが、EVでは電池が生産コストの大きな比重を占める中核部品であるため、今後は自ら開発・生産に乗り出す考えだ。ミュラー社長は「第3者による供給に依存したくない」と明言した。
 
ただ、25年のEV販売目標に必要な電池の規模は計150ギガワット時に達することから、工場建設には巨額の資金が必要となる。他の分野でも大規模な投資を計画する同社にとって財務負担は大きく、プレスリリースには「原則的に戦略的なオプションを検討する」と明記。選択肢の1つとして提携を視野に入れていることを示唆した。
 
商用車分野ではスカニア、MAN、VWブランド商用車の連携を緊密化しシナジー効果を引き出す考えを明らかにした。また、商用車を単に製造する企業から情報通信技術を駆使した輸送ソリューションの提供者へと進化する方針を打ち出した。
 
アプリを利用した配車サービスやカーシェアリングなどモビリティの新たな潮流もグループの成長に活用する考えで、そうしたモビリティ・ソリューション事業の売上高を25年までに10億ユーロ規模に拡大する目標を明らかにした。
 
VWはこれらの目標を実現するためには100億ユーロのケタ台の投資が必要になるとの見方を示した。投資資金は事業効率の改善とモデル数の削減を通して確保する考えで、現在およそ340あるモデルバリエーションを地域市場と顧客ニーズを踏まえて絞り込んでいく。
 
事業効率改善に向けては特に、同社最大の事業規模を持つVWブランド乗用車にメスを入れる。収益力が低く、グループ全体の足かせとなっているためだ。
 
売上高営業利益率は15年の6.0%(排ガス不正の引当金を除いたベース)から25年までに7~8%へと引き上げる目標(表を参照)。
 
VWをめぐっては部品工場を束ねる独立会社の設立を検討していることが同日に明らかになった。競合企業への部品供給も視野に入れており、巨大なサプライヤーが誕生することになる。5大陸の計26工場が対象で、全従業員の1割強に当たる6万7,000人が該当する。ミュラー社長は同部品会社の本社をVWと同じヴォルフスブルクかその近郊に設置するとの見通しを示した。

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