2017年5月11日

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フィリピンのドゥテルテ政権、環境保護者の環境天然資源長官を不承認、後任に元国軍参謀総長

フィリピンのドゥテルテ政権、環境保護者の環境天然資源長官を不承認、後任に元国軍参謀総長

フィリピンの環境行政を担う『環境天然資源庁=Department of Environment and Natural Resources 』(DENR)のロペス長官に対して、5月3日、上院と下院の委員12名ずつ、計24人で構成される『任命委員会』が同長官の閣僚資格は『不適』と多数決で押し切り、同長官は閣僚を去ることになった。

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なお、同委員会では外務長官が同様に不承認となっていて、ドゥテルテ政権下では2人目の不承認となった。
  
1人目の外務長官は2重国籍問題を虚偽の証言で追われたが、2人目のロペス長官の不承認理由は明らかにされず、任命委員会の委員に対して黒い手が動いたのではと噂されている。
  
不承認となった同長官は環境保護者として知られ、ドゥテルテ大統領の任命後、10ヶ月の任期中に『環境基準に違反している』として、国内で操業する鉱山会社41社を調査し、内23社の操業停止、5社の一時停止処分を行った。
  
今まで欲しいままに環境破壊を続けていた鉱山会社は、この措置に猛反発し、同長官を追い出すために地元や中央の政治家へのロビィ活動と経済界や労働界の有力者を総動員して対抗。
  
この同長官の方針に対して、地元であるミンダナオ島の鉱山開発による荒廃を見たドゥテルテは最初は同長官を支持する発言をしていたが、大統領選時の選挙資金が中国系の鉱山会社から出ていたこともあって、いつしかダンマリを決め込み、同長官を擁護する動きはなかった。
  
5月9日、DENRの後任に環境行政とは無縁、素人のフィリピン国軍制服組トップになるシマツ元国軍参謀総長が就任したが、新長官は参謀総長を辞めた後、『中東担当特使』を務めるなど政治権力側の使い回しの良い立ち位置にあった。
  
同氏への任命は鉱山業界の意を汲んだドゥテルテの環境行政のやる気のなさを象徴していると、環境保護団体やキリスト教関係団体から批判されている。
  
今回の鉱山閉鎖問題だが、特に『ニッケル』を産出する多くの鉱山が閉鎖、一時停止の行政処分となっていてその数は閉鎖が18社、一時停止が2社となっている。
  
その中には日本の大手鉱山会社、住友金属鉱山も含まれ、日本の資本によるかつての丸太伐採同様の環境破壊の一端も明るみになった。
  
また、フィリピンは世界最大のニッケル鉱石輸出国でもあり、その量は世界の20%を占め、フィリピンの前長官による行政処分によってニッケルの減産、相場の上昇も生んだが、鉱山会社側に寄り添う新長官が就任したことによって、世界のニッケル業界は安堵している。
  
 【写真は任命式の様子 左が新DENR長官】
 
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news01&config=&command=body&no=409
 
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