フィリピン・ミンダナオ島全域に『戒厳令』、【セブにも拡大】か?
5月23日、ドゥテルテ大統領はミンダナオ島全域に戒厳令を布告した。
期間は現行憲法で規定されている60日間だが、延長は可能。
また、状況によってはセブを中心とするヴィサヤ地域やマニラ首都圏のあるルソン島地域にも拡大させることを示唆している。
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今回の戒厳令はドゥテルテが就任以来折に触れ口にしていて、この3月にも大統領の地元、ミンダナオ島ダヴァオ市での地元首長を集めた会合で『戒厳令』布告に言及していた。
今回の強権発動はミンダナオ島南ラナオ州の州都マラウィ市(人口約20万人)でイスラム系反政府武闘組織『アブサヤフ』と国軍の交戦があり、同交戦に中東の『イスラム国(IS)』を支持する『マウテ』グループが加わり、市街戦となった事を理由としている。
この交戦では反政府側の死者30人以上を数え、双方の死者は市民を含めて50人近くを数え、交戦地域から近隣に避難する市民が続出している。
また、攻撃を繰り返すグループ内にはインドネシアやマレイシアなど外国籍の人間も多数含まれ、これらはシリアやイラクに渡航できなかったIS支持者がフィリピンで活動していると消息筋は見ている。
フィリピンでは1972年にマルコスが戒厳令を布告し、反対陣営を弾圧、抑圧し独裁政治を強化した歴史を持ち、戒厳令に対しての警戒感と嫌悪感は強いが『テロ』との戦いという名の下に布告された。
今回のミンダナオ島全域に戒厳令を布告したことに対して、ドゥテルテ擁護者の1人であるラモス元大統領(元国軍参謀次長)は地域を限定的に行うべきと批判を加えている。
これは、アロヨ政権時代の2009年にミンダナオ島マギンダナオ州で起きた同州知事などが政敵に対する『大量虐殺』事件で、同地域を限定的に布告した戒厳令を念頭に入れている。
ミンダナオ島において政府軍と反政府組織との交戦は日常的に死傷者が発生している状態で、いたずらに緊張感を煽る戒厳令布告との批判も強い。
しかしながら、違法薬物関与者への無差別殺人を平然と遂行するドゥテルテの思考方法から、戒厳令をフィリピン全土に広げて、自身の独裁化を図るのではないかとの指摘もある。
この流れの中で、ドゥテルテは議会に戒厳令布告の説明を行うが、大統領の施策の歯止めとなる議会は、ドゥテルテ当選以前は少数政党であった支持政党が、今では絶対多数を擁するとうに膨張し、上下院の議長や員会の要職を独占する状態となっている。
これは勝ち馬に乗るフィリピンの政治風土から来ているもので、反対党から鞍替えするのは当たり前となっている。
そのため、前アキノ政権を擁し最大与党であった党などは今や少数政党に転落、副大統領選で勝利した同党所属のロブレドへの弾劾への動きも出ていて、多数を頼みに政治を壟断し、ドゥテルテ独裁化への道を助長している。
この戒厳令布告に対して、ミンダナオ島行きの路線を持つフィリピン航空など航空会社は航空券の払い戻しを決定し、経済、観光面での影響が既に出ている。
ソース: http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news01&config=&command=body&no=410
Photo by Davao Today on Flickr
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