2018年8月24日

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マレーシアで最低賃金の上昇 国内の競争力低下を懸念

マレーシアで最低賃金の上昇 国内の競争力低下を懸念

マレーシアの繊維・アパレルメーカーは、今週可決された1,500リンギット(368米ドル)という新最低賃金(民間部門)によって業界全体の競争力の低下を引き起こす可能性を懸念している。

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マレーシア政府は昨日(8月14日)、民間部門の最低最低賃金を1,500リンギット(368米ドル)とすると承認したが、新賃金は徐々に段階的に適応される。
 
マレーシアのMahathir Mohamad首相は、マレーシア国営報道機関、Bernamaに対し、「最低賃金を引き上げると生産コストが上昇し、競争力を失ってしまう。」と語り、「同様に生活費も増え、今まで購入したものを買うことができなくなってしまう。」と述べた。
 
しかし、新最低賃金が導入され、雇用者の負担を軽減するために最低賃金上昇の50%を負担すると約束した新しいPakatan Harapan政府の声明によると、最低賃金の上昇は政府の負担も増すことになる。
 
「これは、最低賃金が1,000リンギットから1,500リンギットに上がる際に、Pakatan Harapan政府は500リンギットのコスト差を均等に分担することを意味する」とマニフェストにて述べられた。党はまた、最低賃金を2年ごとに見直すことを約束した。
 
昨日、繊維・アパレル部門の雇用主が参加した人的資源省にて、最低賃金上昇の第1段階に関する会談が行われた。
 
しかし、政府はそのスケジュールに関しては「まだ検討中」であり未定である、とマレーシア繊維製造業者協会(MTMA)のマレーシア繊維・アパレルセンターのセンター長のRegina Leong代表はjust-styleに語った。
 
マレーシアの繊維・アパレルメーカーの間で、民間部門の新最低賃金限度額が業界の競争力を低下させる可能性に関する懸念が広がっている。
 
新しい最低賃金の引き上げが生産性と技術水準の上昇に支えられた場合にのみ、業界の競争力は維持されるだろう、と業界のリーダーたちは言う。
 
マレーシアの雇用主連盟のShamsuddin Bardon事務局長は、「賃上げには反対していないが、最低賃金上昇はスキルレベルと生産性上昇に繋がる必要があります」とjust-styleに語った。
 
雇用主連盟はまた、繊維・アパレル産業を代表する団体でもあり、Bardon事務局長は、これらの分野のアップグレードがなければ、マレーシアはカンボジア、ベトナム、ミャンマーなどの国々と競争することに奮闘すると述べた。
 
「私たちは、賃金引き上げをするのではなく、自分のスキルを認められるようにしたい」と話した。
 
Bardon氏は、最低賃金は政府が運営するマレーシアの技能証明書システムにリンクすることができると示唆した。レベル1は現在、最低レベルのスキルであり、レベル5は学位に相当する。
 
最終決定は先月マレーシア国家賃金協議会による勧告に従い、現在のペニンシュラマレーシアの1,000リンギット(245米ドル)および東マレーシア(ボルネオ島の北部)の920リンギット(225.82米ドル)から1,500リンギット(368米ドル)となった。
 
この動きは、全国の最低賃金の段階を標準化するだろう。
 
Leong氏は新しい賃上げが生産性を損なう可能性があることをjust-styleに警告した。
 
「例えば、1日の目標が100ピースの場合、労働者は基本給与が増え、日々の目標を達成しなくても以前よりも多く稼ぐことが可能なため、目標を達成する可能性は低くなるでしょう。」と語った。
 
代わりに、彼女もまた、高い生産性とスキルが賃金の引き上げに必要であることを示唆した。
 
 
・生産性の遅れ
 
Bardon氏は、マレーシアは同地域の周辺国と比較して労働生産性が遅れていると警告した。最近の世界銀行の報告書’Productivity Unplugged’によると、周辺国と比較してマレーシアの労働生産性の方が緩やかに上昇している。
 
1990年から2014年の間に、マレーシアの年間労働生産性(労働者一人あたりの付加価値成長)は2.65%増であったが、シンガポールでは3.95%、タイは3.08%、 韓国は3.39%、 香港は3.15%であった。
 
さらに、マレーシアは人口動態の変化を求めていない。「2030年までに65歳以上の人口の割合が7%を超えると予想されるため、マレーシアが高収入状態に達するための持続的な成長軌道を確保するためには、より速い生産性の成長が必要である」と同報告書は警告した。
 
政府が賃金勧告を受け入れる場合、マレーシアの製造業連盟(FMM)は賃上げを一度に導入するのではなく、2019年に初賃上げを行い5年以上の時間を掛けて段階的に提案を実施するよう求めている。そうすることにより、その費用は雇用主にとって耐えられるようになるだろう。
 
さらに、2018年1月から外国人労働者の雇用の際に課徴金を課すという政府の決定により、費用が増えたとBardonは述べた。また、同氏の協会が最低賃金限度に関して政府に対し、いくつかの勧告を行ったと付け加えた。
 
彼は同団体の趣旨を明らかにすることを断った。「高いコストは、生産力を国外へ逃してしまうだろう」と彼は警告した。
 
マレーシアの繊維・アパレル輸出は、より小さい範囲で既に影響を受けている。
 
マレーシア繊維製造業者協会のデータによると、2016年の繊維・アパレル品の輸出額は、164億リンギット(40.2億米ドル)であったが、2017年には1%減の162億2,000万リンギット(39億8千米ドル)となった。
 
ソース:http://apparelresource.asia/news/item_3551.html

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