2019年6月12日

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カンボジア:大手ファッションブランド、縫製労働者の短期契約制限の裁定を支持

カンボジア:大手ファッションブランド、縫製労働者の短期契約制限の裁定を支持

Levi’s、H&M、Gap Inc.は、カンボジアにおけるアパレル縫製工場労働者に対する短期契約の利用を制限する判決を支持した。

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批評家によると、この契約は従業員の管理に広く利用されており、反対意見は黙殺されている。3社以外の世界的なファッションブランドも、仲裁委員会が「工場は、短期雇用された労働者408人に対し、永久的な契約をしなければならない」という決定を下したことに賛成した。
 
この判決は、他にも数百件の訴訟が起こらざるを得なくなる可能性があることから、重要な意味を持つ。
 
労働権運動家たちは、70億米ドルの国内衣料産業における歴史的な短期契約の乱用だと非難してきた。
 
「我々は、工場が仲裁委員会の裁定に従わなければならないことを明確にしました」とH&Mの広報担当者Ulrika Isaksson氏はトムソン・ロイター財団に対し語った。
 
台湾に拠点を置く工場の所有者であるRoo Hsing Garmentはコメントの要請に応じなかった。同社は控訴する意向を示していたが、政府はその後、仲裁裁判所の同法解釈を支持することを明らかにしており、控訴が成立する可能性はほとんどない。
 
これは請求者408人のうちの一人である、第一子を妊娠中のSoeun Sophos氏にとって朗報だ。28歳の彼女は、H&Mのズボンを六年間作り続けているが、いつも短期契約で仕事をしており、その仕事で安心したことは一度もなかったと言う。
 
「短期契約者として、私たちは完全に弱い立場にいます」と、彼女は仕事の後、路肩のバーベキュー・パーティーでトムソン・ロイター財団に語った。
 
「工場はいつでも私たちを解雇することができ、すべては彼らの手中にあります。」
 
縫製産業はカンボジア経済の柱であり、国内総生産の40%を占め、女性を中心に70万人以上が雇用されている。
 
しかし労働団体によれば、労働権侵害や人権侵害が蔓延しているという。
 
国際労働機関(ILO)の監視グループ 「ベター・ファクトリーズ・カンボジア」 によれば、464の工場を対象にした調査では、労働者の2/3以上が、上司が短期労働契約を違法に利用していると回答した。短期労働契約を結んでいる労働者は、失業を恐れ、労働組合に関与する、虐待を報告する、生産目標の達成を急いている上司に抵抗するなどの可能性が低いとみられている。
 

拡大する監視の目

 
輸出工場を代表するカンボジア縫製工業協会は、1月の仲裁委員会の決定に反対したが、政府の最新の声明は短期契約に関する法律を明確にしたと述べた。
 
「明らかに、すべての工場が声明に従わなければなりません。我々はすべてのメンバーに勧告を送ります」と同協会のKen Loo事務局長は述べた。
 
GapはRoo Hsingの紛争について直接は言及しなかったが、仲裁委員会の決定を支持すると述べた。「カンボジアのすべてのサプライヤーに対し、サプライヤーが労働仲裁委員会の裁定に従うことを期待する旨を伝えました」と広報担当者のDebbie Felix氏は述べた。
 
「もし工場が判決を受け入れるという約束を撤回した場合、Levi’sは懲罰的措置を取るでしょう」とLevi’sの広報担当Phil Zabriskie氏は述べた。
 
「Roo Hsingは、近日中に追加説明が予定されていますが、判決を履行することに同意しました」と同氏は述べている。
 
ファッションサプライチェーンで働く労働者が直面する虐待について世界が知るようになり、監視の目が厳しくなる中、カンボジアのアパレル産業はここ数年で徹底的に見直されている。現在の最低賃金は月額182米ドルで、2012年の月額61米ドルから上昇している。
 
しかし、賃金と基準が上昇すれば、生産目標も上昇し、工場はコスト増を相殺しようとすると労働者や活動家は指摘する。
 
「契約を更新しないという脅しが、労働者に定期的な残業をさせ、過剰な生産目標を達成させ、労働組合に加入させない目的で使われています」と労働人権同盟センターのMoeun Tola事務局長は述べる。「上司が短期契約を好むのは、労働者が自分の権利のために立ち上がる勇気を持てば、反対意見を黙らせることができるからです。」
 
先週の判決は、カンボジアの労働法第67条の解釈をめぐる労使間の論争に決着をつけた。当初の試用期間とは別に、勤続2年以上の者は、ボーナスや手当が支給される終身職に昇進できることが明らかとなった。
 
「今では本当に言い訳の仕様がありません。「解釈の違い」が、常に法律不施行の標準的な言い訳でした」とTola事務局長は言う。
 
Sophos氏は工場が管理する一間のアパートに住んでいるが、有給としての3カ月の産休が取得できるのは6カ月も先だ。彼女が心配しているのは、上司が彼女を切り捨てるのではないかということだ。しかし、第67条が明確になったことで、彼女は契約を更新し、週60時間、約50米ドルで働かなければならない状況から抜け出せることになる。
 
「私は言われたことをします。工場は私が得るべきものをくれますか?」と彼女は言う。
 
ソース:http://apparelresource.asia/news/item_3884.html

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