2017年2月8日

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リオデジャネイロ、オリンピック村はゴースタウン化?

リオデジャネイロ、オリンピック村はゴースタウン化?

世界を熱狂させたスポーツの祭典、リオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピック開始から2月5日で半年を迎えた。国民が冷静になった今、オリンピック・パラリンピックのレガシーを価値を査定する動きが出てきているようだ。

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グローボ系ニュースサイト「G1」が2月4日付で伝えたところによると、今年1月よりリオ市郊外のバーバ・ダ・チジュッカ地区にあるオリンピック村跡地が毎週末、市民のレクリエーション施設として開放されているという。
 
パラリンピック終了から4か月。しかし、世界的祭典の跡地は今、スポーツ施設というよりはゴーストタウンに近い状態だという。
 
昨年(2016年)11月24日、エドゥアルド・パエス前リオ市長の任期中、リオ市は入札なしで緊急対応としてMホーシャ・エンジェニャリーア社(以下「M社」)にオリンピック村の共用部分のメンテナンスを委託する契約を締結した。同社はこの契約により330万レアル(約1億1900万円)以上を受け取る。
 
アリーナの大部分は全くメンテナンスがされていないため傷みが激しい。現地紙「オ・グローボ」が報じたところでは、温水プールは水が溜まった状態で野ざらしで放置されている。水の中にはスライムや虫がわき、蚊も発生している。
 
同エリアの発電施設には380ボルトの高圧電流が流れるとの警告表示があるが、周りの鉄柵は簡単に動かせるようになっている。
 
アクアティックセンター近くでは、地面に敷き詰められたブロックの随所に隙間や割れ目ができている。
 
世界的なブラジル人現代芸術家アドリアーナ・ヴァレジャゥンの作品が印刷されたパネルは破れたまま放置されている。センター内の建物の中では天井からぶら下がった電線やケーブルが随所に見られた。
  
リオ市とメンテナンス契約を結んだM社いわく、メンテナンスを請け負ったのはカリオカ・アリーナ1~3とテニス用設備、アクアティックパークと競輪場だけで、アドリアーナ・ヴァレジャゥンの作品の管理や修復は契約には入っていないとのことだ。
 
前市長のアドバイザーによると、オリンピック村維持管理の入札はすでに2度行われたが、応札者がいなかったため、M社と緊急に契約を締結したという。
 
スポーツ振興省によれば、アリーナの撤去は市の責任の下に行われるものであるため、省では市がいつどのように何をするかはわからない、という。
 
次官レベルからは、水がたまったままのプールについては保護シートがかけられるとの発言があった。リオ市によると、プールは計画されていた8月より前に撤去されるとのことだ。
 
マルセロ・クリヴェーラ現市長によってオリンピック村は市民のレクリエーションの場所として開放された。クリヴェーラ市長はオリンピック村を市民に開放する当日、このような談話を発表した。
 
「リオ市民はこの場所をとても美しい場所だと思うことでしょう。神が作った山々、湖などこの美しい風景を。私はすべての市民をこの場所で歓迎し、市民の皆様が設備を存分に利用してくれることを期待しています」(マルセロ・クリヴェーラ市長)
 
市民に開放してから2週間たったが、現場は市長の思い描いた通りにはなっていない。オリンピック村には相変わらずひとけがない。
 
散歩をするにしても、注意深く歩く必要がある。地面から石が出っ張っていたり、街路樹の根元のスペースには水がたまったままになっていて、鳥が水を飲みにやって来ている。が、蚊やボウフラが発生し放題の状態だという。
 
「水を飲める場所が全くないんです。この暑い中、水飲み場もないなんて、誰もきやしませんよ」(体育教師、パーソナルトレイナーのアレックス・バルボーザさん)
  
オリンピック村の敷地は118エーカー、総工費は25億レアル(約900億円)。市にとってはオリンピックのレガシーのうち最大のものになる。前市長のパエス氏の任期中に民間企業への売却を試みたが、興味を示す企業は1社もなかった。
 
クリヴェーラ現市長が市民への開放を開始する際、3月からスポーツ振興省がオリンピック村のメンテナンスを引き継ぐと述べた。9月にはロック・イン・リオの会場として使われる予定だという。
 
「ロック・イン・リオは私の知る限り、リオで最も大きなイベントです。すでに(ロック・イン・リオのイベント責任者)メヂーナ氏と何度も打ち合わせを行っており、彼をリオ観光の顧問として招きました。イベントが行われることは確実ですが、リオ市としてもイベントを全面的にサポートをします。リオには観光事業が必要で、イベントカレンダーを埋めていく必要があります」(クリヴェーラ市長)
 
市警は徒歩、車両などでオリンピック村近辺のパトロールに当たっているが、侵入するのはとても簡単だ。アクアティックセンターの周りだけは少し厳しくなっていて、「G1」のスタッフが敷地内に入ろうとしたときだけ警備員に止められ、ここは侵入禁止だといわれた。
 
「変ですよね? この記念公園的な場所にひとけが全くなくて、管理する人がほとんどいないなんて。ちゃんと管理をするために警備員を雇うべきですよ。素晴らしい場所だからひとけが全くないなんて状態にしておくべきではありません」(市民でエンジニアのサミ・ファヤッヂさん)
 
リオ市は広報担当経由でスポーツ振興省がバーバ・ダ・チジュッカ地区のオリンピック村スポーツ関連施設を管理していくことになると伝えた。当然施設撤去の判断も費用負担もスポーツ振興省が行うとも伝えている。
 
アリーナ3だけは例外的に市が管理し、市立学校がスポーツ施設として使用するという。市は教員や学校の理事会の助力を得て、今後の設備増強や運営の方針を固めつつあるという。
 
市はオリンピック村の内部、外側の警備は引き続きリオ市警が行うと伝えている。毎日59人の警備員と車両7台を用いてパトロールを行う。
 
オリンピック・パラリンピック競技期間中に報道関係者が詰めていた建物はリオ・マイスという建設コンソーシアムが担当していたが、ここはスポーツ設備ではなく私有のため、商業施設として扱われるとのことだ。
 
(文/余田庸子)
 
ソース:http://megabrasil.jp/20170208_33780/
 
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