2017年8月29日

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ドイツのエア・ベルリン経営破たん、ルフトハンザなどが買収交渉

ドイツのエア・ベルリン経営破たん、ルフトハンザなどが買収交渉

経営不振に陥っている独航空2位のエア・ベルリンは15日、民事再生手続きの適用をベルリン・シャルロッテンブルク区裁判所に申請した。

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筆頭株主である中東エティハド航空が財務支援の打ち切りを通告したため。
ドイツ政府がつなぎ融資の保証を引き受けたことから、11月末までは業務や運行に支障が出ない。
経営陣は事業の売却に向けて同業ルフトハンザなどと以前から交渉を進めており、速ければ9月にも合意が成立する見通しだ。
 
エア・ベルリンは事業の拡大路線などが響いて経営が悪化。2011年に実施した第3者割当増資で中東系エティハド航空が株式29%を取得し、筆頭株主となった。
 
エア・ベルリンはエティハドの支援を受けて経営再建に取り組んできたものの、成果が上がっていない。エティハドは実質的な子会社である伊アリタリア航空が5月に経営破たんしたこともあり、エア・ベルリンに新たな資金支援を行うゆとりがなくなっていた。エア・ベルリンには総額20億ユーロを注入したとみられている。
 
エティハドの支援打ち切りを受けて、ドイツ政府は政策金融機関KfWを通して最大1億5,000万ユーロの融資を実施する。これによりバカンス先に滞在しているエア・ベルリンの乗客が混乱なしに帰国できるようにした。融資額はエア・ベルリンの事業売却益で回収する考えだ。
 
エア・ベルリンは旅客機144機を保有している(表を参照)。このうち38機は乗務員、整備、保険契約の全てを貸し出すウェット・リースの形でルフトハンザの格安航空(LCC)子会社ユーロウイングスに貸し出している。
 
ルフトハンザはこれを含めて約90機(空港発着権を含む)をエア・ベルリンから譲り受ける方向で、交渉を進めている。ただ、同社は独業界最大手であるため、独禁当局から制限を課される可能性がある。
 
エア・ベルリンのトーマス・ヴィンケルマン社長はルフトハンザ以外に2社と売却交渉を進めていることも明らかにした。メディア報道によると、そのうち1社は英LCC大手イージージェットという。
 
 
独禁法上の懸念大きく
 
一方、ドイツの航空事業者であるルドルフ・ヴェールル氏は18日、エア・ベルリンを他の投資家と共同で全面買収する意向を明らかにした。ルフトハンザがエア・ベルリンの事業の大部分を買収すると独航空市場に独占が生じ好ましくないと主張している。
  
ルフトハンザの勢力が強まることに対してはアイルランドのLCC大手ライアンエアも警戒を示している。同社は15日、エア・ベルリンの民事再生手続き適用申請と政府の融資保証はルフトハンザがエア・ベルリンを債務の引き受けなしに買収できるようにするための「謀略だ」と批判。独禁法違反の措置だとしてドイツ連邦カルテル庁と欧州連合(EU)の欧州委員会に調査を要請することを明らかにした。
 
ルフトハンザはエア・ベルリンの部分買収に以前から関心を示しているが、カルステン・シュポール社長はエティハドに対し、エア・ベルリンに貸し付けた12億ユーロの債権放棄を要求していた。民事再生手続きが適用されれば、債権の引き受けなしに事業を買収することが可能となる。
 
ドイツの国内・EU線に占めるルフトハンザのシェアは現在49%に達する(グラフ参照)。2位のエア・ベルリンは14%(子会社ニキを含む)に上ることから、ルフトハンザが仮にエア・ベルリンを全面買収するとシェアは63%に上昇。国内線に限ると72%から96%に拡大し、市場競争が適切に機能せず運賃の上昇につながる懸念がある。
 
このため独禁当局関係者の見方は厳しく、政府独禁委員会のアッヒム・ヴァムバッハ委員長はエア・ベルリンの空港発着権のうち収益力の高いものは競売入札にかけるべきだと主張。連邦カルテル庁のアンドレアス・ムント長官は買収計画を厳しく吟味する意向を表明している。
  
ソース:http://fbc.de/sc/sc40200/
 
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