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フィリピンの「死刑制度復活法案」、下院が賛成多数で可決

フィリピンの「死刑制度復活法案」、下院が賛成多数で可決

大統領制を取る国は、新たに選ばれる大統領は前政権政策の逆張りをすることによって求心力を高めることが多く、その例としてアメリカの新大統領トランプなど、ことごとく前オバマ政権の真逆の政策を取ることによって支持者の囲い込みを計っている。

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このフィリピンも似た様な環境で、現大統領ドゥテルテも、元アロヨ政権下で廃止した『死刑制度』の復活を目論んでいる。
 
この死刑制度はアキノ(母)政権下の1987年に廃止されたが、アキノの後継者として出て当選した軍人出身のラモスによって、1994年に復活し、次の次の政権になるアロヨ政権下の2006年に再び廃止された経緯を持つ。
 
このように政権のご都合ともいうべき事情で死刑制度は弄られているが、2月7日、下院本会議で死刑制度復活の法案採決が行われ賛成217、反対54、棄権1の賛成多数で可決された。
 
この採決を巡ってドゥテルテに追随する与党は『下院の委員会などで委員長を務める議員が反対票を投じたら役職から追放する』と、圧力を加えていたがアロヨ下院副議長(元大統領)、ヴィルマ・サントス行政監視委員長(前バタンガス知事で著名な女優)【写真】など要職に就く人物の造反がいくつもあった。
 
これに対して与党選出の下院議長は役職剥奪の手続きを進めると述べている。
 
今回の下院可決ですぐに法案が実施されるわけではなく、現在法案を審議中の上院で可決され、その後両院によって最終的な法案の摺合せが行われ、大統領署名を経て成立するが、ドゥテルテの死刑復活論はかねてから知られ、その意を汲んだ復活法案のため、成立、実施は確実と見られている。
 
今回の法案では審議の始まった1月の段階では21の重要犯罪を対象にした広範なものであったが、教会や人権団体などの反発が強く2月になって①国家反逆、②強姦、③略奪、④違法薬物関連の4種に絞られた。
 
しかし、下院議員の中でも反対が多く、可決に持ち込むために違法薬物関連だけに限定し可決に繋げた。
 
その内容は①違法薬物の輸入、②販売、配布、運搬、③違法薬物を扱うバーやリゾートの運営、④違法薬物の生産、⑤栽培、⑥違法薬物の処方、⑦薬物を取り締まる警官などの公務員の押収薬物の横領などの7つで、何れも禁錮20年から40年に該当する犯罪を対象としている。
 
なお、違法薬物関与者への警察による殺害で頻発するでっち上げを避けるために『薬物所持』は対象から外れた。
 
また、死刑執行方法も銃殺、絞首、薬殺の3種類を採用し、死刑該当であっても担当判事の裁量によって終身刑にすることも可能としてあり、実質的な死刑回避措置とみられる部分もある。
 
ソース:http://www.ph-inside.com/news/board.php?board=news01&config=&command=body&no=406
  
>>あわせて読みたい 『ドゥテルテ大統領在任中の開発計画、フィリピン国家経済開発庁が承認』

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